1カ月ビーガン

大学生だった頃、台湾人の友人がたくさんいました。かつて台湾は徴兵制のある国でしたが、2018年には4カ月の軍事訓練義務だけを残し、徴兵制から志願制になりました。

 

私の友人の多くは宗教的な理由から徴兵制を拒否し、徴兵制から逃れるためにオーストラリアに移住してきた人たちでした。「徴兵の義務を果たさなかったから台湾には一生帰れない。」と話していたのが印象的でした。もう20年以上前の話ですし、志願制となった今なら帰れるのかもしれません。

 

その友人たちはみな「素食」しか食べませんでした。粗食の誤変換ではありません。素食は台湾の精進料理で、西洋的に言えばベジタリアンです。ちなみに画像は台北にある素食レストランです。山盛りですね😆

 

ベジタリアンとビーガンの違いはご存知ですか?ベジタリアンが食べないのは肉と魚だけ、ビーガンは肉と魚に加え、卵や乳製品、蜂蜜も食べないという人たちです。素食はどうかというと、もちろん肉や魚は食べません。卵と乳製品に関しては私の友人たちは食べていましたが、食べない人もいるようです。そして素食に独特なのが、ネギ・にら・にんにく・らっきょう・玉ねぎを食べないということです。野菜なのになぜ食べないのか聞いたことがありましたが、昔の僧侶がどうのこのう・・・詳しい内容は忘れちゃいました😅「体に良くない」という結論だったと思います。ネギ類とかにんにくなんて体に良さそうなイメージしかありませんが、五行思想によると体に負担をかけると考えられているようです。

 

その友人の1人が日本に遊びに来たことがありました。せっかくだからと色々な所に連れて行きましたが、とにかく食べ物に困りました。お肉を避けることはさほど難しくないのですが、日本で魚を避けることの難しさを感じました。出汁とか調味料にどうしても入っているんですよね。

 

ある時、スパゲティ屋さんに入りました。トマトベースのパスタなら肉だけ抜いてもらえば大丈夫だろうと考えていたのです。お店の人に聞いたところ、コンソメが入っているというではないですか・・・。コンソメは当然、肉や魚を原料にしています。食べ物探しにほとほと嫌気がさしていた私は、友人が日本語が分からないことをいいことに、「これは大丈夫だから」とたらこスパゲティを食べさせました。(その友人は卵は食べる人だったので。)内心わずかな罪悪感を感じましたが、友人はとてもおいしそうに完食しました。食事後もしばらく観光し、帰宅して数時間後・・・なんと友人が「具合が悪い」と言ってトイレでゲーゲー吐き出したのです。「あ、たらこにやられた!」と私は思いましたが、今でも友人には内緒です😅もちろん同じたらこスパゲティを食べた私はピンピンしてました。素食以外は受け付けない体になっていたようです・・・。

 

今日は『Yes Theoryイエス・セオリー』というYouTubeチャンネルから「30日間ビーガンに挑戦したら、結果に驚いた」という動画の内容をご紹介したいと思います。

 

イエス・セオリーはカリフォルニアを拠点に活動する4人の若者(現在は3人)のチャンネルで、モットーは「Seek Discomfort」です。直訳すると「不快を求めろ」です。

 

チャンネルを開設した7年前はどんな動画を作っていたのか見てみたところ、「知らない人と道で踊ってみた」とか「世界一辛い唐辛子を食べてみた」といったいかにも若者がやりそうな動画が並んでいました。その後、4人は積極的にカリフォルニアを出るようになります。「メキシコでプロレスに挑戦してみた」「韓国でお金なしで24時間を過ごしてみた」「世界で最も訪れる人が少ない国に旅行してみた」「世界一寒い町で4日間過ごしてみた」などなど、興味を掻き立てられる動画がたくさんあります。

 

「ビーガンに挑戦してみた」という動画はたくさんあるのですが、イエス・セオリーのものが圧倒的に視聴回数が多かったので(400万回越え)、こちらを紹介しようと思いました。ビーガンを推奨するとかいう意図はありません。

 

日本ではベジタリアンの方にお会いすることはあまりないように思いますが、それでも200万人くらいはいるそうです。ちなみに世界で一番ベジタリアンが多い国はインドで約3億7千万人で、人口の約28%に当たるそうです。台湾も負けてはいません。人口の約14%に相当する約330万人が素食だそうです。素食レストランが多いわけです。インドと台湾は宗教上の理由という方が多いようです。

 

インドと台湾以外でベジタリアン(もしくはビーガン)が多い国はドイツ、イタリア、カナダ、オーストラリア、イギリスなど欧米諸国に多いようです。アメリカではここ数年でベジタリアン人口が5・6倍にも増えているのだとか。アメリカの「しょーもない」食生活にアメリカ人自身もいい加減、嫌気がさしてきたのでしょうか😅

 

話を動画に戻します。ビーガンに挑戦するのはマットさん(画像右の男性)です。挑戦開始前に、現在の体の状態をチェックすべく血液検査を受け、赤血球の値が若干低いという結果が出ました。赤血球の生成に必要なビタミンB12は動物性食品に豊富なため、ビーガン食にすると欠乏しやすい栄養素の1つです。栄養士の方に気を付けるようアドバイスされていました。その他の数値は全く問題なしでした。

 

マットさんは以前にもビーガンに1週間ほど挑戦したことがあるそうなのですが、最終日の疲労感がひどかったそうです。その時はなんの知識もない状態で行ったのが敗因だったと考え、今回の挑戦は専門家たちの力を借りることにしました。

 

まずは医師であり、ビーガン食に関する著作もあるマシューさんに会いに行きました。

 

たんぱく質のために肉を食べなければいけないという「固定観念」があるマットさんの最初の質問は、「たんぱく質はどうすれば良いのか」でした。マシューさんは「全ての植物性食品にたんぱく質が含まれている。十分なカロリーを摂取できれば、必要な栄養素は全て賄える。」とのことでした。またマシューさんは「加工食品を避けるように」というアドバイスもしていました。マットさんは自身が間違ったものを買わないよう、マシューさんに買い出しに付き合ってくれるよう頼みます。「大人がこんなお願いをするのは恥ずかしいんだけど・・・」とちょっと照れていました。

 

野菜や果物はもちろんのこと、ナッツや調味料、パン、パスタ、ピザなどなど、どんどんとカートに詰め込んでいきます。

 

「こんなの見たことないな」と思ったのがこちらです。赤矢印の所から何が出ているかわかりますか?なんとピーナッツバターです。搾りたて(?)のピーナッツバターをなめて、ご満悦な表情のマットさんでした。出来立てのピーナッツバターってどんな味なんでしょう・・・🙄

 

 

こちらはマットさんが買い込んだ品物の一部です。「今までよりたくさん食べられるのが嬉しい。でも自分が何を食べているかに気をつけなければいけないという難しさもある。認知力を高める良いトレーニングになる」と話していました。

 

挑戦初日の夕食はマッシュルームやパプリカ、バジル等々の野菜がたっぷりのパスタを作り、美味しそうに食べていました。

 

ある日の朝食では、ドライマンゴー、りんご1個、バナナ1本、海苔、アーモンド、プロテインシェイク、栄養補助スナック2本を食べていました。なかなか盛りだくさんです。

 

次にマットさんが会いに行ったのは、ビーガンボディービルダーの二-マイさん(画像左)です。二-マイさんはベジタリアンの家庭で育ち、7年前からビーガンになりました。ビーガンでもトップレベルのボディビルダーになれるということを証明したかったそうです。

ビーガンだと伝えると、決まって「たんぱく質はどうするんだ」と言われるそうですが、そんな時も二-マイさんは余裕の表情で「この体を見て、たんぱく質が不足してるように見えるかい?」と答えるそうです。マットさんは「あなたの隣に座ると自分が小枝のように感じる・・・」と苦笑いでした。

 

続いてマットさんはロビーさんに会いに行きます。ロビーさんは食事によって糖尿病の改善を図るという会社を立ち上げた人です。1枚目の画像はロビーさんが果物について熱く語っているシーンです。マットさんは「この果物はどこの国から来たの?見たこともない。」と若干圧倒されていました。

 

2枚目の画像はロビーさん宅でビーガン料理をごちそうになっているシーンです。料理は絶品だったようですし、ビーガン友達ができて嬉しそうなマットさんでした。

 

翌日、「いろいろな考え方を知るため」にマットさんはマックスさんに会いに行きます。マックスさんはジャーナリストであり、「ジーニアスフード」という本の著者でもあります。

 

マックスさんはご自身のお母さんが比較的若い頃に認知症になったことをきっかけに食事について調べ始めたそうです。膨大な量の本を読む中でマックスさんが得た結論は

 

「摂取カロリーの6割を加工食品から得ている典型的なアメリカ人の食事は『毒』。ベジタリアン食やビーガン食は1つの選択肢ではあるけど、最上の選択肢だとは思わない。植物性食品に加えて、適正な方法で飼育された動物からの栄養素を併せて取ることで、微量栄養素も欠かすことなく摂ることができる。万人に合う食事というのは存在しない。私に合うからと言って、あなたに合うわけではない。試してみて、結果をみて、判断することが大事。」

 

ということのようです。マックスさんの話を聞いて、マットさんは混乱してしまいます。それまでビーガンを推奨する人たちに会ってきたマットさんは「ビーガンが最良」という考え方と「何事も極端は良くない場合もある」という考え方に板挟みになり、何が正解かが分からないと話していました。とは言え、挑戦は続きます。残り15日です。

 

ここで10日間のドイツ旅行に出かけたマットさん。もちろん旅行中もビーガン食を守り続けました。ちなみにドイツのベルリンは「ビーガンが過ごしやすい町TOP10」の常連だそうで、ビーガンレストランや食材店を探すことに苦労しないようです。

 

30日間のビーガン生活を終えたマットさん、再び血液検査を受けました。結果は・・・

 

☑ビタミンB12の値が改善。ただし、これはビーガン食によるものではなく、ビーガン食はビタミンB12が欠乏しやすいということでサプリを取っていたためです。

 

☑テストステロン値が上がった。

 

☑たんぱく質の値が上がった。

 

☑鉄の値が上がった。

 

となりました。テストステロン値やたんぱく質の値が上がったというのは驚きですね。以上の結果を踏まえ、栄養士のメーガンさんは、「ビーガン食はあなたにぴったりなようですね😄」と話していました。マットさんご自身はどう思ったかというと・・・

 

「こんなに改善するとは驚きだった。想像以上だった。これまでも健康的な食事をしてきたから、こんな変化が出るとは思わなかった。この結果を知ったら、もうやめられない。これからも植物性食品中心の食生活を継続すると思う。」と話していました。それほど厳格ではないゆる~いビーガンを続けるようです。

 

いかがだったでしょうか。私自身はベジタリアンでもビーガンでも素食でもありませんが、ここ3年くらいはスーパーでお肉を買うことがほとんどなくなりました。理由は「別に食べたいと思わないから」それだけです。外食すれば鶏、豚、牛、なんでも食べます。以前はお肉が入らないおかずは物足りないと思っていたのですが、慣れてみると単なる勘違いだったと気づきました。

 

冒頭にも書きましたが、このブログの意図はビーガンの勧めではないです。ご自身の食生活について思いをはせる、そんなきっかけになれば嬉しいです。

 

文:真木