ビリビリ感の正体

上の男性と下の女性、仮にお二人とも限界まで前ももを上半身に寄せているとし、どこかの筋肉が女性の方が硬い可能性があります。なんという筋肉だかわかりますか?

答えは赤丸で囲んだ筋肉です。大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋という3つの筋肉を合わせた「ハムストリング」です。3つの筋肉からなるので、英語だとハムストリングスというふうにSが付くのですが、日本語ではハムストリングと呼ばれることが多いようです。略してハムと呼ばれたりもします。

 

 

 

 

ハムストリングのストレッチにこんなのがあります。ワークアウト第1でも行っていますね。(手はレッドコードを持っているのでイラストとは位置が違いますが。)

 

ちょっと試してみていただきたいことがあります。前足のつま先を上に向けるバージョンと、前足のつま先を上げないバージョンをやってみて下さい。違いが分かりますか?

 

つま先を上に向けた方が伸びが強いように感じませんか?あるいはより辛く感じる、つっぱるように感じる、ビリビリするという方も多いと思います。このビリビリ感の正体は何なのでしょう?

 

実は、そのビリビリはハムストリングがビリビリしているわけではなく、坐骨神経が引っ張られることによって生じたビリビリ感なのです。

 

イラストをご覧いただくとお分かりいただけるように、坐骨神経は途中までハムストリングと同じような走行をしています。両者の違いはハムストリングは膝裏辺りまでなのに対し、坐骨神経の一部は足首の下まで伸びているということです。

 

つま先を上げる、つまり足首を動かすことで坐骨神経が引っ張られ、ビリビリが生じるというわけなのです。

 

 

ネットにこんな👆のがありました。人間の体の部位を異性に見立てて表現しています。言い得て妙という感じですね😆関節は「歳をとるといつ裏切ってくるか分からない」と書いてありますが、だからこそ頼りになる筋肉で守ってあげることが大切です。

 

イラストの中には神経はありませんね。神経(末梢神経)を異性に見立てるとどんな感じなのか・・・上記のようなうまい表現は思いつきませんが、筋肉のように多少いじめても、それに打ち勝って力を増して戻って来るという感じではなく、少しばかりの冷やかしでも割と簡単に傷ついてしまう繊細なタイプだと思います。関節が歳をとると裏切ることがあるように、神経も若い頃はせっせと世話を焼いてくれたのに、歳をとったら全然見向きもしてくれない(反射が低下する、感覚が鈍くなる)という傾向もあるかと思います。また、神経に対する接し方としては、基本「優しく」が大切かと思います。

 

話をハムストリングと坐骨神経に戻します。ハムストリングのストレッチをする時に、もも裏のビリビリ感がつらくてなかなか思うように伸ばせられないという方は多いと思います。そういう場合も、ある程度のビリビリ感は耐える必要がありますが、「息が出来ない」ほどのビリビリ感は逆効果になることもあります。なぜなら、上述のように神経は打たれ弱いので「優しく」が大切だからです。

 

神経は筋肉のように伸張性があってビロ~ンと伸びるという性質はありませんので、ビリビリ感を歯を食いしばって耐えても柔らかくなるわけではありません。大切なのは「滑走性」を高めることです。

 

ということで最後に、坐骨神経の滑走性を高める動きをご紹介します。

 

と、その前に仰向けでどこまで足を上げられるかをチェックしておいてください。下記の坐骨神経の滑走性を高めるエクササイズを行う前と後で、足の角度に変化が出るかもしれません。

 

では下記に「坐骨神経グライド(glide)」の動画を貼ります。グライドは「滑らかに動く」という意味です。音声はありません。

動きとしては、足首の曲げ伸ばしをするだけです。抱える側の足の膝は曲がっていてOKです。動画の男性よりも前ももを胸に寄せられるという方は寄せてOKです。しつこいですが大切なのは「優しく」ですよ~😊各足30回ほど行ってみると良いかと思います。坐骨神経の滑走性が上がっていくのを感じ取れるかもしれません😊

 

文:真木