関節の音の正体

ソフトSMを受けられているお客様から時々、「ソフトをやると、背中とかがボキボキ鳴る」と言われます。かくいう私もソフトSM中は、背中が盛大にバッキバキと音をたてます。ソフトSMより強めのスティックモビリティではそれほど鳴りません。ソフトSMの方が、「伸ばす」という要素が強いからかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

私が理学療法士の学校に通っていた頃、もうかれこれ15年以上前ですが、「関節の音の正体は分からない。有力な説は関節の中の液体に気泡があって、その気泡が破裂する音。炭酸飲料がシュワシュワ鳴る感じと似ている。」と習いました。

 

あれからずいぶんと時は流れました。はたして関節の音の正体は判明したのでしょうか・・・?

 

 

 

 

 

 

イラストは膝の関節を横から見たものになります。大腿骨の左側にある白い半分に割れたハートのようなものは膝蓋骨(しつがいこつ、膝のお皿)です。関節の中には、関節の動きをスムーズにするために関節液という潤滑剤が存在します。関節液はサラッとした液体ではなく、ねっとり感があるそうです。

 

上述の「気泡破裂説」が登場したのは1970年代です。ところがその頃はそれを証明する術(すべ)がありませんでした。2015年になり、カナダの研究者たちがMRIをつかった検証を行いました。

 

 

 

 

MRIの中に入っている人の指を引っ張り、関節内がどうなるのかを観察したのです。指を引っ張って関節の隙間が広がると、そこに現れたのは・・・

 

気泡!そして、その気泡は関節がポキッと鳴った後もしばらくの間、そこに存在し続けたそうです。ということで、このカナダのチームが導き出した答えは、

 

関節の音の正体は、気泡の破裂音ではなく、「気泡が形成される音」

 

ということでした。

 

 

ところが、「気泡形成説」に異議を唱える科学者たちが現れました。その主張としては、

 

MRIは画像を取るスピードが遅いため、気泡が破裂した音なのか形成された音なのかを識別できない

 

というものです。

 

 

 

 

 

それから3年が過ぎた2018年、ハーバード大学の天才たちがこの気泡問題にけりをつけるべく、数学を駆使して答えを導き出しました。その答えは・・・

 

気泡の一部が破裂した音であり、残りの気泡は破裂せずに存在し続ける

 

というものでした。70年代の説により近く、それでいて、「関節が鳴った後も気泡が存在していた」という気泡形成説の説明もついたわけです。こんなことを数学で導き出すって、一体頭の中どうなっているんでしょ🙄

 

ということで、今のところは「気泡の一部が破裂説」が有力なようですが、この説もいつかは覆されるかもしれないですね。

 

 

ところで、関節を鳴らすクセがあると関節炎になる、という根強い噂があるのですが、その噂を自らの体で検証したのがこちらのドクター・アンガーです!左手の指だけを1日2回鳴らすこと50年!50年後、両方の手のX線写真を撮ってみたところ・・・左右の手に特段の違いなし!関節炎もなし!という結果となりました。関節がポキポキ鳴っても・鳴らしても関節炎の心配はないようです😄

 

関節の隙間が広がる⇒気泡ができる⇒気泡の一部が破裂してポキッと鳴るということは、裏を返せば、ソフトSMでポキポキ音が聞こえる方は、関節が広がっている証拠なので喜ぶべきこととも言えると思います。(ポキポキ音と痛みが同時に起こる場合は要注意)

 

もちろん、ポキポキ音がないからといって落胆する必要もありません。筋肉は間違いなく伸びているはずです。音で関節の広がりを認識するも良し、筋肉が引っ張られる感触で筋肉の伸びを認識するも良し、みんな違ってみんな良い、ですね😊

 

 

 

 

「成長」の角度は小さな方が良いと聞いたことがあります。90度に上がるということはほとんどないですし、仮に60度で上がれたとしても、急角度で上がると多くの場合は長続きしない、というのが理由です。5度の上昇は成長が見えづらいですが、長く続けやすく、気づいた頃には自分でも驚くほど遠くに来ていたとなることが多い一方、急角度で上がると案外、急停止・急降下を起こしやすいのだそうです。長く続けるためには成長角度はゆるいほうが良いんですね😊

 

トレーニングもきっと同じですよね。三日三月三年という言葉がありますが、3日や3カ月程度では変化を感じられないと思いますが、3年も経てば誰でも必ず変化を実感できると思います。2022年もゆるやかな成長を楽しみながら運動していただけたら幸いです。

 

 

ということで、今日で2021年のブログ終わりです😄しょうもない文章を読んで下さり、また感想などもいただきありがとうございました!また来年も読んでくださいね~😄

 

文:真木