飢餓状態?

一言でジムと言っても、さまざまな形態がありますので、十把一絡げに語ることはできませんが、プロテインの販売をしている所は多いと思いますし、糖質制限を推奨するところも多いのではと想像します。それを否定することはしません。プロテインを飲むことも、糖質制限をすることも良いと思います。

 

そう前置きをした上で・・・真木は「プチ断食+筋トレ」をおすすめしています。実体験として良いと感じていますし、プチ断食なら抜くだけだから節約にもなりますしね😊やろうと思い始めたその日に始められ、やめたいと思えばいつでもやめられる、そんな手軽さも良いと思っています。

 

やり始めてしまえばどってことないプチ断食も、始めるまではハードルが高く感じる方も多いようです。また、下記のような質問をいただくこともあります。

 

「空腹にすると、次の食事の時に、いつも以上に吸収してしまい太る。だから痩せたいのならこまめに食べた方が良いということを聞いたことがある。」

 

 

「お腹が空きすぎると、食べた時に余計に吸収してしまう。」という話、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。私も以前はそうだと思っていました。だからというわけではないですが、1日5・6回食べることもよくありましたし、間食は間食と呼べないくらい四六時中食べていました。

 

この「吸収してしまう論」はざっくり言うと、「体が飢餓状態になって、このままでは死んでしまう!エネルギーを蓄えないと!と脳が判断し、通常よりもエネルギーを吸収し、脂肪を蓄えようとする。」ということです。

 

では、これ本当なのでしょうか?「飢餓状態」というのは本当にあるのでしょうか?今日はこの説の元になったと考えられている「ミネソタ飢餓実験」なるものをご紹介します。

 

 

ミネソタ飢餓実験は1944年から1945年にかけて、アメリカのミネソタ大学で行われた臨床研究です。

 

私事ですが、大学生時代にミネソタに2年ほど住んでいました。もう20年以上前の話なので、今の様子は分かりませんが、私がいた町はとにかくアホみたいに寒い、ドがつく田舎でした。実験が行われたミネソタ大学はミネソタ州で一番大きな町(ミネアポリス)にあるのですが、そこには、「モール・オブ・アメリカ」という、これまたアホみたいに大きなモール(ショッピングセンター的なもの)がありました。モール内にはジェットコースターなどがある本気の遊園地やチェペルや水族館まであり、「アメリカ人はなんでも大きいのが好きだな~」と思ったものです。日本にもコストコが進出したりして、アメリカの「ビックサイズ」に驚かない日本人も増えたかもしれませんが、当時はバケツのような容器に入ったアイスを食べるアメリカ人を見て、「だから太るんだよ・・・」と思っていました。

 

 

今でこそ、3人に1人が肥満と言う肥満大国・アメリカも、肥満が社会問題になり出したのは1980年代からなので、1944年に開始したミネソタ飢餓実験は肥満を解消する方法を見つけるための研究ではありませんでした。

 

では、この研究の目的は何だったのでしょう?1944年というと第二次世界大戦の末期です。何百万という人が食料不足による飢餓に苦しんでいました。戦後その人々を救済援助する際の指針を作成する、ということがこの研究の最大の目的だったそうです。

 

 

被験者として選ばれたのは、22~33歳の健康な白人男性36名です。被験者の多くは宗教等の理由から戦地に行かなかった/行けなかったものの、「国や社会に貢献したい」という思いを持っていたそうで、強制的に集められたりはしていません。

 

研究は4つの段階に分けて行われました。最初の12週間は「標準化期間」で、被験者の体重を「理想体重」に近づけるために食事が調整・管理されました。この期間に被験者が摂取していたカロリーは一日あたり約3,200キロカロリーです。

 

次の24週間は「半飢餓期間」で、1日の摂取カロリーは最大1,800キロカロリーまで減らされました。食事内容はその時代のヨーロッパの人々の典型的な食事であったジャガイモ、カブ、パン、マカロニなどです。この期間に、被験者の体重を研究開始前より25%減少させるために、食事が厳密にコントロールされ、また被験者は1日約35キロ歩くことが課せられました。

 

第3段階(12週間)では、被験者は4つのグループに分けられ、グループごとに摂取カロリーは管理され、タンパク質やビタミンなども補給されました。この期間は半飢餓状態からのリハビリ期間で、最終の8週間は摂取カロリーや食事内容は制限がありませんでした。

 

 

画像の右の写真は、研究の第1段階(最初の12週間)の被験者です。「理想体重」の状態です。

 

そして左の写真が第2段階、つまり半飢餓期間中の被験者です。ガリッガリですね😱半飢餓期間中は被験者の体重は25%減少し、基礎代謝は約40%も落ちたそうです。

 

基礎代謝というのは、生きているだけで消費するエネルギーです。運動で消費するエネルギーとは別物です。基礎代謝が高いということは、それだけエネルギーを使うということです。全く同じ量の食事を摂り続けても、基礎代謝が高い人は基礎代謝が低い人よりも太りづらいのは、消費するエネルギーが大きいからです。

 

話を戻します。体重は25%落ちたのに、基礎代謝は40%も落ちた・・・。基礎代謝が落ちたということは、つまり太りやすい体になったということですよね?この結果から導き出された「謎の理論」が

 

お腹が空く⇒体が飢餓状態になって体がエネルギーを消費させないようにしたり、栄養をやたら吸収しようとする⇒基礎代謝が下がる(つまり太りやすくなる😱)

という「飢餓状態によって太る体がつくられる論」です。

 

 

ところが、この理論は重大な点が見落とされています。

 

ミネソタ飢餓実験で、「飢餓状態になったことで基礎代謝が落ちた」というのは事実です。問題は、どの時点で「基礎代謝の低下」が始まったかということです。1998年に当時のデータの再検討が行われました。その結果、導き出されたのは・・・基礎代謝の低下が生じたのは、体脂肪率が5%を切った時点、ということです。

 

これが何を意味しているかと言うと・・・飢餓状態というのは確かに存在し、その状態が続くと、死なないために、体は基礎代謝をわざと下げ、エネルギーを使わない体にする。基礎代謝を下げるという自己防衛反応が現れる分岐点が体脂肪5%(女性はもう少し高い)ということです。

 

 

体脂肪率によって外見がどんな風に見えるか、参考までに貼っておきますが・・・おそらくシャキットのお客様で体脂肪率が5~10%の方はいらっしゃらないと思います。私も自信を持って言えます・・・20%は切っていない!と😅

 

食糧難の時代・地域で生きているというならさておき、我々日本人が「飢餓状態になって太りやすい体になる」ということは、まずもって心配する必要がないということです。少々お腹が空いたからといって、基礎代謝が落ちることもなければ、栄養をやたら吸収するようになることもないというわけです。

 

というわけで、「こまめに食べた方が太らない」という説は、私は間違いなのではないかなと思っています。皆さんはどう思われますか?

 

文:真木

 

 


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コメント: 2
  • #1

    西谷 (月曜日, 23 8月 2021 01:41)

    写真の中では30%の方のボン!キュッ!が魅力的だなぁ( 笑 )

    昔は食事の間隔空くと吸収よくなり太る、総量同じなら小分けにするべしと言われていました。最近の空腹ブームには随分と変わるものだなぁと驚きました。

    ワタクシはちょこっと食べる方が余計にお腹空いて結局余計に食べてしまいます。お腹がこなれてくると食べたくなる、それでちょこっと食べれば又すぐお腹がこなれて(胃が空く?)食べたくなる。在宅勤務の時は2時間おきに食べてしまいました。それで食欲のコントロールができるものなのか?と6月からプチ断食始めました。ずっとお腹が空のままの方が気にならない感じです。

    休日は朝食食べないままレッスン受けるので終わった後はフードファイターか?と思うほどの食欲ですけど、吸収よりも血糖値の上昇の方が気になるかもです。

  • #2

    シャキット真木 (月曜日, 23 8月 2021 11:17)

    私も25~30%くらいの女性の体型ステキだと思います!脂肪うんぬんより、メリハリの方が大事なのかもしれませんね。

    そうなんですよね~、ちょこちょこ食べはお腹がすぐすいて我慢できなくなるのに、プチ断食中の空腹はなんともないんですよね~。私も本当にそれは実感しています。

    血糖値の上昇についてもちょいちょい質問を頂きますが、これはやはり食事内容でコントロールすることが大切だと思います。同じご飯であっても、白米をどんぶり一杯食べるのと、玄米を同量食べるのでは、血糖値の上昇の仕方が違うそうなので、そういう意味では玄米派の西谷さんは問題ないのではないでしょうか。

    入り口は「16時間あける」という条件1つで良いと思いますが、慣れてきたら「8時間のうちに何を食べるか」という視点も重要だと思っています。