呼吸法①

シャキット文庫の中に「人生が変わる 最高の呼吸法」という本があります。食事や運動に関する本に比べると、読んだ方は少ないと思います。結構厚みがあり、内容も少々難しく、私自身もしっかりと読めてはいません。

 

今日のブログはこの本のご紹介・・・というわけではなく、この本の元になっている呼吸法のご紹介です。

 

本の帯に「深呼吸は体に悪い」と書かれていますが、これが事実だとしたら結構驚きではありませんか?深呼吸は沢山の酸素を体内に取り込むことができ、心も落ち着く・・・そんなイメージがあります。

 

 

この本の著者であるパトリック・マキューン氏は慢性的な呼吸過多で、子供の頃から喘息に悩まされていたそうです。体力がなく、健康状態も良くなかったことから、ネガティブな自己イメージを持っていたのだとか。そんなマキューン氏がある呼吸法を習ったことで、人生が激変したそうです。

 

その呼吸法とは、ロシア人生理学者・医師であるコンスタンチン・ビューテイコ(ブテイコ)から教わったビューテイコ呼吸法です。ちなみに画像はマキューンさんではなく、ビューテイコ医師です。

 

「多くの疾患は間違った呼吸法で引き起こされる。『深呼吸病』は慢性過剰換気を引き起こす。」とビューテイコ医師は考えていたそうです。

 

本の著者であるマキューンさんは、ビューテイコ呼吸法を基盤に、「酸素アドバンテージ・プログラム」という独自のメソッドを開発されましたが、今日はそちらではなく、ビューテイコ呼吸法がどういうものかをみていきたいと思います😊

 

 

まず、ビューテイコ呼吸法の大前提として、鼻呼吸でなければいけない、ということがあります。深呼吸うんぬんは後からです。

 

ビューテイコ呼吸法でなくても、鼻呼吸の大切さは色々な人が言っていますので、今更な感じもありますが、復習の意味で・・・

 

鼻呼吸が口呼吸より優れている理由は、①吸い込んだ空気が肺に入る前に、鼻の粘膜がウイルスやばい菌などの不要なものを取り除いてくれる、②吸気を温めて湿度を加えることができるため、気道や気管がダメージを受けない、③心拍数が下がる、④気道と血管が広がる、⑤酸素が全身に効率よく行きわたる、⑥疲労物資が減少する、などが挙げられます。

 

①だけを見ても、特にこのご時世では鼻呼吸の重要性が分かります。マスクはともすれば口呼吸になりやすいので、鼻の粘膜をフル活用するためにも、ぜひ鼻呼吸を意識してみてください😊

 

口呼吸は口腔内の乾燥によって、虫歯や歯周病が発生しやすくなりますし、脳に届く酸素が減るという研究もあるようです。もしお子さんやご家族の口が四六時中開いていたら・・・口にそっとガムテープを貼りましょう😄というのは冗談ですが、口を閉じるようにしつこく、しくこく、しつこ~く言うと良いかもしれません・・・。

 

実は私自身もけっこうな年齢まで口呼吸でした。今でもボーっとしていると口が開いているかも・・・。でも、口呼吸は直せますよ!最初は若干苦しく感じるかもしれませんが、姿勢を直すのと同じで、意識の問題だと思います。気づいたら直す、気づいたら直すを繰り返していくと、鼻呼吸が自然になっていくと思います😊

 

 

ビューテイコ呼吸法の特徴は「鼻呼吸」だけではありません。「ゆっくり、ソフトに」がポイントです。では、実際に練習してみましょう😄

 

胸の辺りとおへその辺りに手を当て、ゆっくりと呼吸します。(胸が膨らむ胸式呼吸ではなく、腹式呼吸で)鼻から吸って鼻から吐きます。鼻からやや冷たい空気が入っていき、やや温かい空気が鼻から出ていくことを感じ取って下さい。

 

空気の温度、ご自身の体温を感じつつ、徐々に呼吸のスピードを遅くしていきます。でも完全に止めないようにします。「深く吸い込みたい」と感じるくらいに、ゆ~っくり、ゆっく~り呼吸し続けます。まるで呼吸していないが如く、ソフトな呼吸を続けます。

 

 

 

 

ソフトな呼吸ってけっこう苦しくないですか?これがポイントのようです。私たちは深い呼吸に慣れ過ぎているのかもしれません。

 

ビューテイコ医師いわく、体に届けられる酸素というのは、「肺に入ってきた量」ではなく、「体内の二酸化炭素の量」に関係するそうです。いくら深呼吸をして肺に沢山の酸素を取り込んだところで、体内の二酸化炭素の量が不足していれば、その酸素は素通りしてしまうそうです。なので、酸欠状態は解消されず、脳は更なる呼吸を促してしまい、それによって余計に二酸化炭素が排出されてしまう、という悪循環を起こすわけです。

 

そんな状態になると、体は「これ以上、二酸化炭素を奪われたくない!」と気管支痙攣などを起こして抵抗するそうです。また、ビューテイコ医師は高血圧も深呼吸病の一種と考えていたそうです。過剰な呼吸により二酸化炭素が減少してしまったので、体が血管を収縮させて、なんとかして血液を流そうとする、それが高血圧であり、いわば体の「自然な反応」と考えていたそうです。

 

また、慢性鼻炎などでも同様に、『鼻がつまって苦しい⇒苦しいから口呼吸⇒二酸化炭素の過剰な放出⇒二酸化炭素を逃がさないために、体の反応として更にに鼻に蓋をしようとする』という悪循環が生じているのだとか。苦しくても、少々我慢して呼吸を減らし、体内の二酸化炭素量が増えることで、苦しさは数秒から数分で軽減されるそうです。もし慢性鼻炎の方がいらっしゃたら、試してみる価値があるかもしれません。

 

 

次は更に難しくなります。今度は、片側の鼻の穴をふさいでみて下さい。上述の方法と同じように、ゆ~っくり、ゆ~っくり、ソフトな呼吸をします。鼻毛の1本も動かさないようなつもりで、鼻の穴から入っている空気と鼻の穴から出ていく空気を感じ取りながら、優しい呼吸を続けます。口の中が潤ってきませんか?体温が上がったような感じがしませんか?

 

私自身はこの呼吸法、非常に苦手で、とても苦しく感じます。ついつい深呼吸してしまいます。しばらく続けてみようかなと思っています。

 

ちなみに、ビューテイコ呼吸法では、上記のような練習の他、

 

①就寝時の口テープ(これはもう何年も続けていますが、本当におススメ!)

 

②歩く時や運動する時を含めて、常に鼻呼吸(レッスン中は口呼吸してしまっています・・・😭)

 

③あくびの後は、しばし無呼吸(これは思い出したらやるようにしています!)

 

を推奨しています。歩く時はまだしも、運動中も鼻呼吸というのは、なかなかハードル高いですね・・・。走る時はどうなんだろう?トップアスリートはどうなんだろう?と疑問に思い、今回のオリンピックのマラソンで2大会連続金メダルを達成したケニアのエリウド・キプチョゲ選手が、口呼吸なのか鼻呼吸なのか調べてみました~♪

 

下記の動画にその答えがあるのですが、なんと鼻呼吸です!鼻呼吸で数分でも走ってみると、身を持って感じていただけるかと思いますが、めちゃんこ苦しいです😱

 

動画は今回のオリンピックではなく、2019年の様子です。キプチョゲ選手は白いのを着ている方です。動画開始から20秒あたりのところで、キプチョゲ選手が鼻呼吸であるという説明がなされています。確かに周りの選手との口の開き方が違います。ちなみに画面に「残り24.2キロ」の表示があるので、ここまで25キロ以上を鼻呼吸で走っていることになります。キプチョゲ選手おそるべし!!

 

呼吸に関する説明は10秒程度で終わり、それ以降は走り方の解説になりますので、マラソンにご興味のある方でしたら、楽しめるかもしれませんので、一応、下記に動画を貼ります。

 

 

ということで、今回のブログはここまでです。ビューテイコ呼吸法をわずかにかすった程度ですが、深い呼吸が推奨されることが多い中、浅い呼吸(ソフトな呼吸)というのは斬新な感じがします。

 

キプチョゲ選手のソフトな鼻呼吸を見ると、この呼吸法の威力は想像以上なのかもという気がします。片方の鼻の穴ふさいで、ぜひ挑戦してみてください😆

 

文:真木