生命の暗号

今日はシャキット文庫に新たに加わる『生命(いのち)の暗号』のご紹介です~。

 

著者の村上和雄先生は分子生物学者です。今年の4月に85歳で永眠されました。

 

wikipediaの「略歴」を見ると、

 

京大農学部卒⇒京大大学院博士課程修了⇒オレゴン医科大学研究員⇒京大農学部助手⇒ヴァンダービルト大学医学部助教授⇒つくば大学教授⇒筑波大学遺伝子実験センター長⇒筑波大学名誉教授⇒国際科学振興財団専務理事⇒全日本家庭教育研究会総裁

 

となっていました。農学部から始まり、最後は家庭教育研究会・・・一般人にはよく分かりませんが、すごい略歴です。

 

私が村上先生のことを知ったのは、あるYouTube動画をたまたま見たことが始まりでした。その動画を一応、下記に貼っておきます。前半だけで35分ありますが、ご興味あれば見てみて下さい。

 

動画を見て、「こんな科学者がいるんだ~!」と衝撃を受け、著書にも興味がわいたというわけです。動画をご覧いただければお分かりいただけるのですが、上の略歴だけ見ると「お堅い人」を想像してしまいますが、そんなことは全くなく、むしろジョークを交えながら話されています。

 

 

この本のキーワードの1つが「遺伝子」です。副題も「あなたの遺伝子が目覚めるとき」となっています。

 

村上先生の功績の1つに、高血圧の黒幕である「レニン」という酵素の遺伝子解読に世界で初めて成功したということがあります。本の中では、レニンの遺伝子解読成功までの道のりが書かれています。

 

成功までの道のりも面白いのですが、私がそれ以上に面白いと感じたのは、遺伝子解読で見えた「科学における真理」が「人生における真理」にまで発展していくところにあります。

 

 

そもそも「遺伝子って何?」って聞かれたら説明できますか?私はできません😅なので、本からほぼそのまま引用します。括弧内は真木の心の声です😅

 

私たちの体は膨大な数の細胞からできています。体重60キロの人で約60兆個、生まれたばかりの赤ちゃんでさえ数十兆個の細胞を持っています。そして、その細胞1個1個に、例外を除いてすべて同じ遺伝子が組み込まれています。

 

1つの細胞の中心には核膜でおおわれた核があり、その核の中に遺伝子があります。核の中にはDNAという物質があるのですが、これこそが遺伝子と呼ばれるものです。DNAはらせん状の二本のテープになっていて、そのテープの上に四つの化学の文字で表されている情報が書かれています。この情報が遺伝情報で、生命に関する全ての情報が入っています。(たった4つの文字で、全ての情報を表すの?!)

 

1個の細胞の核に含まれる遺伝子の基本情報量は30億の化学の文字で書かれており、もしこれを本にすると、1ページ1000語、1冊1000ページとして、3000冊となります。(1個の細胞に3000冊ってことは、60兆個の細胞を持っている人は60兆×3000冊で・・・兆の次の京?それとも更に次のガイ?ガイはもはや漢字がわからない・・・)

 

「気の遠くなる話」とはまさにこんな話だと思いますが、遺伝子を一言で言ってしまえば、「生命の設計図」ということのようです。

 

 

こんな膨大な設計図を有しているのは我々人間だけではありません。遺伝子の構造と原理というのは、動物や植物、大腸菌やカビといった、地球上全ての生物に共通していることなのだそうです。大腸菌までですよ!

 

しかもしかも、原理は全ての生物に共通しているのに、2つとして同じものがないというのが更に驚きです。同じ人間は誰一人としていない、これは実感として理解できますが、大腸菌ですら唯一無二の存在ということでしょうか?!

 

 

2003年にヒトの全遺伝子暗号の解読が完了したそうです。そこで、多くの科学者に生じた疑問・・・それは「だれがこんなすごい遺伝子の暗号を書いたのか」ということだそうです。う~ん、確かに気になりますね・・・。

 

もちろん人間自身が書いたわけはありません。では、自然と出来上がったのか・・・村上先生は「生命のもとになる素材は自然界にいくらでも存在していますが、その材料がいくらあっても自然に生命ができたとはとても思えません。」と書かれています。更にこう続きます、「もしそんなことができるなら、車の部品を一式揃えておけば、自然に自動車が組み立てることになる。そんなことは起こるはずがありません。ここはどうしても、人間を越えた何か大きな存在を意識せざるをえなくなってきます。」

 

 

村上先生は、この膨大で緻密な設計図を書いた存在を「サムシング・グレート」と呼んでいたそうです。「偉大なる何か」という意味で、どんな存在なのかという具体的なことはわからないものの、そうした存在がなければ、「小さな細胞のなかに膨大な生命の設計図をもち、これだけ精妙なはたらきをする生命の世界を当然のこととして受け入れにくいのです。」と書かれています。

 

その存在の有無を信じるか、また信じるとしてその存在を何と呼ぶか、それは個々人によると思います。「一流の科学者こそ神の存在を信じていて、三流に限って神を否定する。」という話を聞いたことがありますが、遺伝子の世界を極めた村上先生だからこそ、その存在を信じずにはいられなかったのかもしれません。

 

 

なんだか壮大な話になりましたが、本の中では、日常生活において我々が実践できる「悪い遺伝子をOFFにし、良い遺伝子をONにする方法」が説かれています。何か特別な能力が必要なわけではなく、誰でも実践可能なことです。

ご興味のある方、是非『生命の暗号』読んでみて下さいね~😊

 

文:真木


コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    吉村 (火曜日, 10 8月 2021 13:31)

    興味あります~
    遺伝の内容によっては、親に感謝してみたり怒ってみたり、、、
    遺伝子をON・OFFできるなんて驚きですね‼️ ぜひ読んでみたいです‼️

  • #2

    シャキット真木 (水曜日, 11 8月 2021 12:21)

    遺伝子をONにしたら、急に足が速くなった!急に小顔になった!・・・とかではないのですが、ONにできれば、人生変わるかもと思わせてくれる内容でした。
    所々に出てくる科学の話は私にはよく分かりませんでしたが、それでも割とスラスラ読める本かと思いますので、是非手に取ってみてください!