できるかどうかは〇〇次第?

私の母はわりと体が硬いのですが、実家へ行くと、よく開脚をしています。(画像は母ではありません。)「開脚より他のストレッチすればいいのにな~」と心の中では思いつつも、本人は「前より足が開けるようになってきた!」と喜んでいるので、それはそれで良いのかな~とも思っています。

 

個人的には、開脚はストレッチの中では重要度は低いと思っています。そう思う理由は色々とありますが、大きな理由の1つが、開脚というのは「股関節の構造に大きく影響される」というのがあります。

 

 

こんな形になれる方を見ると、「なんて柔らかいんだろう!」と思いますよね?羨ましく思う方も多いかもしれません。確かに、この女性たちの筋肉の柔軟性はなかなかなものだとは思います。努力によってここまでいった方もいるかもしれないですが、中には「これといった練習はしてないけど、もともとできる」というタイプの方もいると思います。比較的簡単に開脚ができる、という方の股関節はどんな風になっているのでしょうか?

 

大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)は、球状になっている大腿骨頭(だいたいこっとう)が、骨盤の臼蓋(きゅうがい、受け皿のようなもの)に入ることで、骨盤とつながっています。これが股関節です。

 

誰でも目が2つに鼻が1つ、といった具合に大まかな作りは同じです。しかし、細かい違いは沢山ありますよね?目が大きな人、小さな人、寄っている人、離れている人がいます。鼻だって高い、低い、鼻の穴の形や大きさも千差万別です。これは大腿骨と大腿骨頭にも言えることです。

 

 

大腿骨は1本、骨頭は球状というのは共通しているですが、細かいところは違いがあります。その1つに頚体角(けいたいかく)があります。大腿骨の軸と大腿骨頭の軸が交わる角度を頚体角と呼び、120~135度くらいが一般的な角度です(真ん中)。しかし、画像のように、その角度が120度より小さい方もいれば(左)、120度より大きい方もいます(右)。

 

 

上は実際のレントゲン写真ですが、2枚目は頚体角が小さめ(120度以下)、3枚目は頚体角が大きめ(120度以上)に見えます。こんな風に、股関節の作りそのものに個人差があるわけです。

 

細かくは述べませんが、受け皿である臼蓋の作りにも個人差はもちろんあり、受け皿が深い人もいれば、浅い人もいます。では、開脚が得意なのはどのタイプでしょうか?頚体角だけに限って言えば、頚体角が大きい人の方が開脚がしやすいと言えます。逆に1番開脚に向いていないのは、頚体角が小さいタイプです。

 

 

大腿骨の上の方、大腿骨頭の外側には大転子(だいてんし)と呼ばれる部分があります。立っている時にお尻の外側辺りにボコっと出ている部分があるのですが、触れますか?そこが大転子です。

 

開脚では足を外に開く(股関節の外転)わけですが、その時に骨がどのようになっているかが上のレントゲン写真でわかります。白線の矢印で示されているように、大転子が骨盤にぶつかっています。また、点線の矢印で示されているように、大腿骨骨頭もぶつかっています。骨同士がぶつかるというのが、何を意味するかというと、「これ以上はいかない」ということです。

 

肘(ひじ)で考えるとわかりやすいと思います。肘を曲げた状態から伸ばしていくと、ある所でもうそれ以上いかなくなりますよね?これは肘の周りの筋肉が硬いとかいうことではなく、骨と骨ぶつかっているのです。柔軟性は全く関係ありません。

 

頚体角が小さい(120度以下)場合には、さほど足を開かなくても、わりと早い段階で大転子が骨盤に当たってしまうのです。そういう意味で、このタイプは開脚が苦手と言えます。反対に、頚体角が大きい場合には、足を大きく横に開いていくまで、大転子がぶつからないのです。

 

 

ここまで読んで「構造的な問題なら、どうにもらなないじゃん😭」と意気消沈してしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、あきらめるのはまだ早いですよ!股関節が開脚に不向きなタイプだとしても、改善のためのポイントはあります。

 

それは・・・気合いです!気合を入れて、ガバッと開きましょう!

 

嘘です😆大きく足を開くためには、できるだけ大転子や大腿骨頭が骨盤に当たらないようにしたいのですが、それが可能となる2つの秘儀、それが・・・

 

 

骨盤前傾!

 

「出ました!」の声も聞こえそうですが・・・1つ目のポイントは骨盤前傾です。左のお姉さんの骨盤が後傾しているのはわかりますか?この状態で足を開こう、開こうと足をグイグイ押しても、たぶん開きません。骨盤にぶつかっている大転子や骨頭が、「無理矢理押さないで!」と悲鳴を上げているかもしれません。でも・・・後傾している骨盤をできるだけ真っ直ぐ立たせるようにしてみると・・・あ~ら不思議、足が開くではありませんか!

 

 

なんていう風に単純にいかないのは分かっています。多くの方が、前傾させようとしても、できないんだと思います。そんな場合には、画像のようにお尻の下にクッション等を入れ、骨盤前傾をしやすくするのも1つの手かもしれません。

 

 

2つ目のポイントは股関節の外旋です。要は、股関節を外巻きにして、画像の力士の方のように膝のお皿とつま先を上向き(もしくは外向き)にします。

 

これも骨盤前傾と同様に、できない方もいらっしゃるかとは思いますが、そこは努力あるのみです。頚体角のように、努力でどうにもならない部分と、骨盤前傾や股関節外旋のように、努力でどうにかすることができる部分があります。どうせ努力するなら、闇雲にではなく、結果を出すための努力をしたいですよね😊

 

 

最後に、中国武術でよく見られる「馬歩」のご紹介です。流派によって若干違いはあるようなのですが、画像のような形のことを指すようです。骨盤前傾と股関節外旋が苦手だという方は、馬歩をルーティーンにしてみると良いかもしれません。

 

画像が載っていたサイトの説明をそのまま訳しますと・・・

 

足を肩幅より広く開き、太ももが地面と平行になるまで腰を落とす。膝は90度に曲げる。上体を真っ直ぐに保ち、正面を見る。手は合掌でも前ならえでもOK。

 

とのことです。骨盤が後傾しがちな方は上体を真っ直ぐに保つことを頑張る必要があると思います。股関節外旋が苦手な方は、膝が内側に入りやすくなるので、そこを気を付けてみて下さい。

 

文:真木

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コメント: 5
  • #1

    ナウシカ様相 (月曜日, 19 7月 2021 00:00)

    昨日に引き続きタイムリーなテーマありがとうございます!
    開脚ペターもみんなの憧れですよね。
    でも元々の骨の作りのこともあるのだと、わかりやすかったです。
    昨日のヨガと馬歩で、骨盤後傾気味と苦手な外旋、じわじわと克服したいです^_^

  • #2

    ナウシカ要素 (月曜日, 19 7月 2021 00:01)

    上のコメントの名前、
    要素が変換間違いで
    様相になっちゃいました笑

  • #3

    シャキット真木 (月曜日, 19 7月 2021 11:09)

    連続コメントありがとうございます(^^)
    Y字と開脚は、立っているか座っているかの違いはあれど、意識すべきところは似ているので、Y字の練習をしていると、開脚もいくようになると思いますし、逆も然りです。ナウシカ要素さんが目指すY字が完成したあかつきには、ぜひ披露してください!(^^)!

  • #4

    西谷 (月曜日, 19 7月 2021 12:43)

    昨日の【スロー&フロー】で正にクッション前のめりに座って開脚and前屈しました。股関節というより、鋼を入れたように固い足裏を伸ばすことを意識できてよかったと思います。最後の膝裏伸ばしで、今日は皆さんよく伸びてますねェと言っていただいたんですけど、前屈が効いたんだよと心の中でつぶやいていました( 笑 )

  • #5

    シャキット山内 (月曜日, 19 7月 2021 13:26)

    西谷様
    先日のスロー&フロー、皆さんの膝裏が伸びてたカラクリはそういうことだったんですね笑
    筋トレと同じく、ストレッチも「伸びろ~!伸びろ~!!のーびーろー!!」と強く念じながら行うとより柔軟性も上がるかと思います!(≧∇≦)b