膝痛は筋力で解決?

膝に痛みはありますか?常時ではないにしても、痛みを感じることはありますか?例えば、普段は大丈夫だけど、階段の上り下りの時に違和感を感じることがある、という方はけっこう多いのではと思います。

 

膝にサポーターを巻いたり、グルコサミンやコンドロイチン含有のサプリを摂ったりなどの対処法がありますが、根本的な解決にはなりません。

 

整形外科に行くと、自力で行えることとして、①体重を落とす、②太ももの筋力をつける、この2点の両方もしくはいずれかが提案されることが多いかと思います。

 

関節そのものは鍛えることができませんので、関節の周りについている筋肉を鍛えて、強くなった筋肉で関節を守る、ということはとても大切だと思います。膝で言えば、やはり太ももの筋肉を強くするということは重要だと思います。ただ、それだけでは十分とは言えず、ある観点が見落とされているように感じます。

 

 

このブログで何度か登場している「スタビリティ(安定性)とモビリティ(可動性)」という概念がありますが、私がこのスタビリティとモビリティについて学生時代に習った時に、先生が例えで柳の木の話をしたのが印象的でした。

 

風になびく柳をイメージしてみて下さい。もし柳にも人間のように関節があるとして、幹にある関節が安定性がなくグラッグラだったら・・・風が吹いたら、枝がなびくのではなく、「すすき」のように、幹ごとなびいてしまうと思います。幹のスタビリティがあってこそ、枝や葉のスタビリティが発揮され、風に見事になびいている、というわけです。つまり、いくら可動性があっても、土台に安定性がなければ、その可動性を活かすことはできない、ということなのです。

 

 

話を膝に戻しますが、膝関節に求められるのは、安定でしょうか?可動性でしょうか?答えは安定性です。

スタビリティ関節である膝は、安定性を高めることが重要になります。

 

 

片足を前や後ろに踏み込む動きを「ランジ」と言います。ランジはシャキットの色々なレッスンに組み込まれています。レッドコードを足にかけて行うランジはワークアウト第1に入ってますし、スティックモビリティはランジ祭りです😅

 

ランジはスクワットと同様に、下半身のトレーニングとしてはとてもメジャーな動きです。たくさんの筋肉を同時に鍛えることができるので、是非ともマスターしたい動きの1つです。

 

 

ランジでやりがちな間違いの1つがこの絵です。右と左の違いわかりますか?右の絵は膝が内側に入ってしまっています。膝のお皿のあたりに入っている線が顔(目と口)のように見えなくもありませんが、左は顔が正面を向いているのに対し、右は斜めを向いてしまっています。

 

ちなみに右は骨盤も肩も水平を保てていません。膝が内側に入っているから骨盤も上半身も崩れたのか、骨盤や上半身が崩れたから膝が入ったのか、その原因はわかりませんが、どこかの安定性が崩れると、総崩れが起きかねない、ということがこの絵から分かります。

 

 

下記の動画では、「骨格模型さん」がランジで膝が内側に入る様子を、とても分かりやすく表現してくれています。最初の50秒くらいを見てみてください。(後半は英語での説明です。)

「膝が内側に入ってしまう」という現象の犯人は各方面にたくさんいるのですが、意外にも膝にはおらず、あるグループはお尻に潜んでいます。

 

犯人の1人は赤丸で囲まれている中殿筋(ちゅうでんきん)です。中殿筋はレッスン中もよく耳にするかと思います。もう1つは、黄色の丸で囲まれている深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)です。深層外旋六筋は1つ1つの名前を覚える必要はありませんが、場所を頭に入れておくと良いかと思います。お尻のやや下の方で、奥の方にあります。

 

中殿筋と深層外旋六筋が弱いと、ランジの際に膝を内側に引っ張る筋肉(内転筋群)に負けて、膝が入ってしまうというわけです。

 

 

「内側に引っ張る筋肉に負けて、膝が入ってしまう」という状態は、膝の安定性が欠けていることを意味します。安定性があれば、内側に引っ張る筋肉に負けることなく、画像の右の点線で示されているとように、股関節・膝・足首を結ぶラインが直線を保つことができます。

 

安定性が欠ける動きを続けることで、膝に余計な負担がかかり、それが膝痛の原因になることがあります。ランジを例えに出しましたが、日常的な動作でも注意が必要です。

 

歩く、走る、階段の上り下り、全て膝が動きます。その際に、毎度毎度、膝が内側に入っていたら、膝にかかる負担はどれだけのものでしょうか。膝が可哀想です😭

 

 

膝が内側に入りやすい方におすすめなのは、バンドを使ったスクワットです。バンドに抵抗して膝を開いていくことで、中殿筋も深層外旋六筋も同時に鍛えられます。深層外旋六筋は奥の方にあるため、使われているのが分かりづらいですが、バンドで抵抗を加えると、お尻のやや下の奥の方に力が入る感じがわかるかと思います。

 

バンドは色々な強度の物をご用意していますので、膝に痛みがある方もない方も、膝が内に入る方も入らない方も、はたまたプリっとしたお尻になりたい方もお尻に興味ない方も、是非とも挑戦してみて下さい😊

 

文:真木

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コメント: 4
  • #1

    西谷 (月曜日, 24 5月 2021 15:32)

    膝が内側に入ってしまうことは、膝下O脚の要因にもなりますか?

    お尻といえば・・・いつも真木さんのぷりっぷりのオチリに目が釘付けでございます。ワタクシ典型的な扁平尻で、太腿と一体化して境がなく、ヒップパッド付けたようなオチリが欲しいのです。レッスンメニューでもオチリに効くものは多いと思いますが、オチリが欲しい方へのアドバイスをお願いします。

  • #2

    シャキット真木 (月曜日, 24 5月 2021 18:22)

    膝下O脚の要因になるかどうか・・・なかなか難しい質問ですね・・・。例えば、内股で歩くことがクセになっていて、股関節が内旋した状態(内側にねじれた状態)をず~っと続けた結果、外ももや前もも、外ふくらはぎがパンパンになって、それが原因でO脚(膝下O脚含め)になるということが絶対ないとは言えないとは思います。

    ただ、O脚(膝下であってもなくても)は、骨や軟骨の形状が原因となるケースもあるので、動作だけが原因とは言えない場合もあるとは思います。

    オチリはですね~、まずはやはり意識することだと思います。下半身のトレーニングは、大殿筋(オチリ)と大腿四頭筋(前もも)が一緒に働くことが多いですが、日本人は大体の方が、大腿四頭筋>>>大殿筋です。なので、いかに大腿四頭筋に頼らないで、大殿筋を使うかが鍵となると思います。それには、しつこいですが、「大殿筋が働いてる~!」っているのを感じ取りながら動くことが大事です。

    あとは、普段の姿勢が骨盤後傾気味の方は、スクワット系の動きの場合、骨盤を前傾方向に動かしていくことが大事です。要は、少々でっちり気味にします。でっちりは腰が反りやすくなるので、過剰にやるのはダメですが、お尻をなんとかしたい!という方には有効かと思います。

  • #3

    ナウシカ要素 (火曜日, 25 5月 2021 08:32)

    膝が内側に入ってしまう理由が、お尻の筋肉にあるのだということがとってもよくわかりました!
    若い頃に短いスカートでも自転車に乗っていたので、チラリ防止のために膝が内側に入る癖がついたせいなのかと思っていましたが、お尻が垂れていたせいだったのですね。笑

     膝が内側に入るのは、構造的に膝にとって負担だということも知りませんでした。今までかわいそうなことをしていました。ごめんね、膝。

     これからは普段の動きから気をつけて、お尻もなんとかしたいので、大臀筋を使い、スクワット系では骨盤も後傾させず、いつか真木さんのようにプリッとあがる日が来るように意識して生活しようと思います。

  • #4

    シャキット真木 (火曜日, 25 5月 2021 22:55)

    膝を内に入れて自転車をこいでたのだとしたら、内ももや前ももで頑張り過ぎてたかもしれないですね。内ももが硬くなってしまうと、膝が内側に引っ張られるので、もしかしたら、その影響もあるのかもしれません。

    なので、お尻だけが原因とは言えませんが、いずれにせよお尻は上半身と下半身を繋ぐ、とーっても大切な所ですし、鍛えると効果が目に見えやすい部位なので、ぜひぜひ意識的に鍛えて、変化を楽しんでいただきたいと思います!