腕はどこから?

「どこからどこまでを腕と言いますか?」と聞かれたら、皆さんはなんと答えますか?通常は「肩から手、肩から手首」、こんな感じの答えになるかと思います。その答えが間違えだというわけではないのですが、下の動画を見ると、「腕って本当に肩からなのかな?」という疑問が生じないでもありません。

 

 

これは「肩甲上腕(けんこうじょうわん)リズム」と呼ばれ、手を外側に開いていく時に骨がどのように動くかを表しています。0:07の所で英語が出てきますが、clavicleは鎖骨、scapulaは肩甲骨、 humerusは上腕骨です。肩を〇度外転すると、肩甲骨が〇度上方回旋する・・・という機序がとても分かりやすく可視化されています。細かい数字や言葉はどうでも良いとして、何が言いたいかと言いますと・・・腕と肩甲骨は連動している!ということです。上腕骨を動かす時には、必ず肩甲骨も一緒に動いている(鎖骨は肩甲骨とくっついているので、必然的に鎖骨も動きます)ということです。

 

レッスン中に度々、「腕ではなくて肩甲骨を意識して下さい」というようなことを言いますが、それは腕が動いている時には肩甲骨も一緒に動いていているという感覚を身につけていただきたいからなのです。腕の動きは目でみることができますが、肩甲骨は自分では見えないので、ないがしろになりがちですが、例えて言うなら、脇役と言うより、むしろ陰の主役です😁

 

では、このリズムは狂うことがあるのでしょうか?リズム感がある方、ない方がいるように、このリズムも狂うことがあるんです~😭原因はさまざまありますが、大きな原因の1つには肩甲骨の動きの悪さがあります。肩甲骨がスムーズに動けば、腕の動きを邪魔することなく一緒に動いてくれるのですが、例えば肩甲骨を動かす筋肉が弱かったり硬かったりして動きが悪くなっていると、腕の動きを助けるどころか、足手まといになりかねないのです😱

 

肩甲骨は動きが悪くて戦力にならない、でも腕は動かさなきゃいけない、こんな状況で人はどんな行動をとるか・・・それは、肩甲上腕リズムを無視して無理矢理動かす!となるわけです。そうすると、当然、腕は上げづらいですし、本来使うべき筋肉を使わないで、他の筋肉を代用・酷使して、無意識で強制的な動きを日常的に繰り返すうちに姿勢の悪さや痛みを誘発してしまうというわけです。リズムって大事ですね!

 

 

寝ながらできる簡単なエクササイズをご紹介します。顔面をベタっと床につけてもOKではあるのですが、鼻が潰れますし、呼吸も苦しいと思うので、画像のようにおでこの下にタオルか何かを入れ、呼吸できるスペースを作って下さい。ちなみに顔を左右に向けると、使われたくない首の筋肉が縮んでしまうので、顔面は下に向けて下さい。画像の男性は足を交叉させていますが、これは別に必須ではありません。足は開いてもかまいません。

 

まずレベル1です。手の平も肘も浮かせないで、肘を伸ばしていき、伸ばしきったら数秒間止め、また肘を曲げていきます。戻る時も手の平と肘は床から浮かせないで下さい。

 

ゆっくり動かして下さい。大切なのは「肩甲骨を意識する」ことです😊

 

 

 

続きまして、レベル2です。指先だけを床につけ、レベル1同様に肘の曲げ伸ばしをゆっくりと行います。指で腕の重さを多少支えることができますが、レベル1よりも肩甲骨周りの筋肉にかかる負荷が少々上がります。

 

 

 

 

肘を伸ばしていっている最中も、伸ばしきった時も床についているのは指先だけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていよいよレベル3です!腕全体を床から浮かせます。動きは1,2と同じです。

 

 

 

 

 

 

 

これはやりがちな間違いです。腕が床から離れすぎています。レベル3をやる際には、腕は床から1,2センチだけ上げ、終始、肘から手首までを床と平行に動かします。この平行というのが大事なポイントです。肩甲骨の動きが悪くなっている方は画像のように肘を上げたくなると思います。肘が上がっていかないように気を付けて下さい。(肘を上げないというのはレベル2でも同じです。)

 

 

正しいレベル3です。肘が上がっておらず、腕と床は平行になっていますね😊

 

 

 

 

 

 

 

決して複雑な動きではありませんが、正しく行うのはなかなか難しいのがこの動きの特徴です。画像の男性のように床から腕を浮かし過ぎることなく、腕と床を平行に保ったままレベル3ができれば、リズムがバッチリ整ってくると思います♪ 

 

下記に元の動画を添付します。字幕はありませんが、動画で見るとより動きが分かりやすいかと思いますので、ご参考まで。

 

文:真木