ホローボディ

1枚目の人と3枚目の人、どちらが体幹強そうですか?(2枚目の腹部だけの画像は3枚目と同じ人です。肩回りや胸の筋肉は1枚目の人の方が発達していますが、腹筋の割れ具合で言ったら、3枚目の人の方がくっきり割れていますね。正解は・・・1枚目の人です。ドミニク・スカイさんというスロベニア人で、YouTubeでパルクールやカリステニクス(腕立て、スクワット、懸垂、ディップスといった自重トレーニング)のコツを配信している人です。3枚目の人はドミニクさんの友人・トーマスさんで、元々はウェイトを使った筋トレをしていたそうなのですが、今はドミニクさんの指導を受けるようになったそうです。ドミニクさん曰く、「トーマスの腹筋はとてもカッコいいけど、体幹はクソなんだ。」と言っています(笑) 腹筋の割れ具合と体幹の強さは関係ないということです。

 

 

では、トーマスさんの体幹がどれくらい「クソ」なのか見ていきます(笑) 1枚目は上半身が落ちてしまってます。体幹がしっかりと働いていると、膝から肩甲骨までを一直線にすることが可能です。2枚目・3枚目は「ドラゴンフラッグ」という動きで、ゆっくりと足を床に近づけていきます。足が床に近づくにつれて、腰の反りが強くなってしまっています。「腰がバナナになっている。バナナは体幹が弱い証拠」とドミニクさんは言ってます。

 

 

 

ちなみにこちらの方のドラゴンフラッグは腰の反りが全くありません。

 

ドラゴンフラッグは相当な上級者が行うトレーニングなので、これができないからと言って体幹が弱いかと言うと、それは言い過ぎだと思います。ただ、トーマスさんの現在の体幹の強さでは、この画像の人のような形にはなれないということです。

 

 

ドラゴンフラックは上級者向けなので、「プランク」で話を進めていきます。

 

当店に通われている方なら一度はどこかのレッスンでプランクをやったことがあるかと思います。左のプランクと右のプランク、どちらが正しいかは分かりますよね?わからない方は次回のご来店時に居残りです(笑)

 

右のプランクが正しいプランクです。左のプランクは腰が落ちているのがわかりますよね。ドミニクさん流に言うと、背中がバナナになっています。バナナ・プランクでは体幹は働いてくれません。ではバナナを平らにするには何が必要かと言うと、骨盤の向きを直すことが必要になります。

 

 

理想的な姿勢というのは1番左の絵のように、骨盤がまっすぐ立っている状態です。(実際には少~し、前に傾いているので、絵のような完全にまっすぐではないのですが。)

 

ただし、プランクのように体幹を働かせたい時には、「骨盤後傾」が不可欠になります。真ん中の絵が骨盤後傾です。赤の点線で表されているように、恥骨(骨盤の下の方のとがった部分)が上がっていますよね?真木がプランクの時に「恥骨をみぞおちに寄せて下さい」と言うことがありますが、それはこの動きのことを言っています。口で言われても、わかりづらいと思いますが、このように絵で見るとイメージしやすいのではと思います。

 

バナナ・プランクやバナナ・ドラゴンフラッグでは何が起きてしまっているかと言うと、骨盤後傾の真逆である骨盤前傾が起きてしまっています。右端の絵のように恥骨がみぞおちから離れ、骨盤が前側に倒れている状態です。

骨盤前傾のままでは、いくらプランクを2分3分とキープしても、体幹は強くはなりません。まずは姿勢を正すことから始める必要があります。

 

 

 

では最後に、プランクではない体幹強化メニューをご紹介します。「ホロー・ボディ」と呼ばれるものです。ホローHollowには「くぼんだ、凹んだ」といった意味があります。頭と肩甲骨の上半分くらいを持ち上げ、正に「凹」の字のごとくなります。一番気を付けないといけないのは、腰をベターっと床にくっつけることです。足が床に近いとより難しくなります。ただし、難しい=効果が高いではありませんので、気を付けてくださいね。いくら足を床に近づけても、腰が浮いていれば、意味がありません。まずは腰が少しも床から浮かない足の高さで行ってみてください。どうしても腰が浮くようなら、両膝を曲げた状態で行ってみてください。30~60秒間キープします。

 

この「ホロー・ボディ」という姿勢は、多くのトレーニングの基本となる形です。プランクもそうですし、ドラゴンフラッグもそうですし、プッシュアップでも、この姿勢が基本です。つまり、これができないのであれば、他のトレーニングでも体幹に効いていない可能性があるということです。ホロー・ボディになった時に、体のどこにどれくらいの力が入るのか、どんな風に筋肉が使われているのかを感じ取ってみてください。そして、プランクをしている時にも同じように感じられるのであれば、そのプランクはおそらく正しくできていると思います。

 

文:真木

 

↓引用動画 動画内ではホロー・ボディの応用なども紹介されています。