「老い」で失うもの

お釈迦様が説いたものに「四苦」があります。四つの苦しみは「生」「老」「病」「死」です。(しょうろうびょうし)「生」は少し不思議な感じもしますが、昔は死産も当たり前にあったことと思われますし、出てくる赤ちゃんにとっても、出す方のお母さんにとっても命懸けであることは今も変わらないですよね。そういう意味での「苦」なのか、「これから大変な人生が始まるよ~」の「苦」なのかは、私にはわからないですが、「老・病・死」は理解できますよね。

 

特に「老」は日常的に「迫りくる」ものをひしひしと感じているのは私だけでしょうか・・・でも「老」というのも神様仏様のご慈悲だと聞いたことがあります。もし人間が10代・20代の身体を維持したまま高齢になり、でも死は必ずやってくるので、元気な肉体を持ったまま死ぬということになります。そうなると、この世に対する未練が強くなり、この世を離れるのが本当に怖く、辛いことになる、なので徐々にあの世に旅立つ準備をするために「老」があるとか・・・。そう考えれば、「老」もありがたい・・・?

 

とは言え、やっぱり老は嬉しいものではないですよね~。加齢によって、身体・精神機能にどんなことが起こるかは5つの原則があるそうです。

 

①生理的機能は早い時期から低下が始まる。

②筋力は身体の下部(脚力)の低下から始まる。

③訓練によって得た能力(知識・技能)は長期間使用するほど維持できる。

④経験と技能の蓄積によって熟練となり、より高度な作業能力が生まれる。

⑤身体・精神機能の個人差が拡大する。

 

③、④のように全てが「落ちる」わけではないというのはまだ救いですね。

 

 

上の図は20~24歳もしくは最高期を基準とした場合に、55~59歳の機能がどの程度保たれているかを表しています。聞き慣れないような言葉もいくつかありますが、割と保たれている能力がある一方、大きく低下するものもありますね。今回のブログでは、落ちやすい機能の中でも「平衡機能」に注目してみたいと思います。

 

 

グラフは目を閉じた片足立ちで何秒間立っていられるかを表しています。男女共に30歳くらいから急降下していますね。それだけ「バランス能力」というのは加齢の影響を受けやすいということです。

 

バランス能力というのは、「筋力」のような単一の能力ではなく、さまざまな因子が絡み合っています。例えば、柔軟性、筋力、敏捷性や姿勢、聴力、視力、認知機能など以外にも、「平衡反応」や「深部感覚」と言ったようなあまり聞いたことがないような因子もバランス能力に関係してきます。「平衡反応」とは、バランスを崩しそうになった時に、転ばないように体を立て直す反応がでるかどうか、「深部感覚」とは関節の曲がり具合や筋肉への力の入れ具合などを感知する能力をさします。

 

さまざまな因子が関係している分、低下しやすく、また強化が難しい(どの因子が低下したかによって強化の方法が変わってくるため)のが「バランス能力」です。でもとても大事な能力でもあり、特に高齢になってくると転倒することが骨折などの大ケガにもつながるので、バランス能力はできるだけ落とさないように今から強化しておきたい能力です。ということで、バランス強化のためのエクササイズをご紹介です!

 

 

 まずは片足立ちです。これはさほど難しくないと思います。姿勢には気を付けて下さい。足元を見たり、背中を丸めないようにします。両足やってみて、左右差があるかどうかも確かめます。

 

片足立ちが余裕で出来たら、次は、軸足をつま先立ちにして行います。それも余裕があるようでしたら、次は目を閉じます。ぐらつくと思いますが、足がつかないよう堪えます。30秒キープを各2セット行います。3パターン全てを左右やっても10分以内にできますので、挑戦してみて下さい。

 

 

次は動きを入れます。片足を出来るだけ遠くの前方に出します。出す足は床に着くか着かないかくらいのすれすれの高さになるようにコントロールします。次に、斜め前→真横→斜め後ろ→後ろ→反対側の斜め後ろ、といった具合に浮かせている足を時計の長針のように動かします。ゆっくりとバランスを意識しながら行います。これも余裕が出てきたら、目を閉じて行ってみて下さい。

 

 

3つ目はヨガでよく行われるポーズです。木のポーズと呼ばれるそうです。軸足のふくらはぎに触れている足は、軽~く触れるだけにしてください。ここを固定してしまうと、安定性が増して、バランスのトレーニングになりません。これも余裕が出てきたら、目を閉じ、さらに難しくしたい方は目を閉じた状態でつま先立ちになります。

 

ご紹介したエクササイズはいずれも初心者向けだそうです。それでも結構難しいですよね。動画の中では更にもう少し難しいメニューも紹介されていますので、ご興味のある方は見てみて下さい。ちなみに一番最後のができれば「忍者レベルだ」と言ってます。

 

文:真木

 

↓引用動画