普段のご自身の骨盤が前傾気味なのか、後傾気味なのかを認識されている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
レッスンでは「骨盤が前傾しないように」ということをよく言うので、「骨盤前傾は良くない」という認識をお持ちの方が多いかもしれません。
では、骨盤前傾の逆である骨盤後傾に関してはどうでしょうか。レッスンでは「骨盤を前傾させて下さい」はほとんど言いませんが、「骨盤を後傾させて下さい。」はよく言うので、「骨盤は後傾している方が良い」という誤解が広がっているかもしれません。
結論から言えば、骨盤は前傾も後傾もダメで、ニュートラル(正中位、わずかに前傾)が理想的です。普段はニュートラルにある骨盤を、動きに合わせて前傾させたり、後傾させたりすることができる、これが理想的な骨盤の状態です。
では骨盤前傾と後傾はどのように使い分けたら良いのでしょうか?「Aの時は前傾、Bの時は後傾」という具合にきっちり分けられると簡単で良いのですが、残念ながらそうはいきません。ですがあまり複雑だと頭に入りづらいと思いますので、とても雑ではあるのですが、こんな認識を持っていただければと思います。
『静的ストレッチ(動きを伴わない、いわゆるストレッチ)は骨盤前傾、筋トレは骨盤後傾』
こんな感じです。本当に雑です。怒られそうなくらい雑です。ただ目安にはなるかと思います。それぞれの具体例で考えてみたいと思います。
例えば、前屈のストレッチ。これはお尻やもも裏を伸ばすことが目的のストレッチです。
左側が骨盤を後傾させた状態での前屈、右が骨盤を前傾させた状態の前屈です。
骨盤後傾での前屈では残念ながら目的としているお尻やもも裏はあまり伸びず、伸びるのは腰回りや背中になってしまいます。腰回りや背中を伸ばすことも良いのですが、だとしたら前屈である必要はありません。もっと効率の良い伸ばし方があります。
上述の前屈しかり、その他の静的ストレッチでも骨盤は前傾できた方が、正しく伸ばせる、伸びが強くなるということは多々あります。そういう意味では、ストレッチに関しては骨盤前傾気味の方の方が有利かもしれません。ただし繰り返しになりますが、普段から骨盤前傾が良いのではなく、普段はニュートラルだけどストレッチの時だけ骨盤を前傾させることができる、を目指していただきたいと思います。
では筋トレの時はどうして骨盤後傾の方が良いのでしょうか?
イラストの左側は骨盤が後傾した状態を表しています。骨盤を後傾させると、胸郭が骨盤に乗り、胸郭と骨盤をつなぐ「筒(腹腔)」が真っ直ぐになり、腹圧が高まります。
一方、右側のイラストのように骨盤が前傾していると胸郭と骨盤をつなぐ「筒」が真っ直ぐにならず十分な腹圧を保つことができません。
腹圧を高めることは、体幹を鍛えることにつながり、軸を整え、安定性を高めることにもなります。筋トレはどんな動きであっても、腹圧は維持できている方が良いので、多くの筋トレは骨盤後傾気味の方が有利であると言えます。
ただし、しつこいですが、普段から骨盤後傾が良いということではなく、必要に応じて骨盤を後傾できる、これがポイントです。日常的に骨盤が後傾していると、背中が丸まりやすくなりますし、胸もお尻も垂れます😭
では、ここからは骨盤後傾を直す方法を探っていきたいと思います。
骨盤後傾に限らず、姿勢を直したいと思ったら意識すべきポイントが3つあります。それは・・・
①普段の姿勢を見直す
生まれながらの骨格はもちろん影響しますが、普段の姿勢はそれ以上の影響力です。座っている時間が長い人が、常に骨盤を後傾させて座っていれば、それが体にしみついて当然です。何よりも先に見直すべきは日頃の姿勢です。
②硬いところをほぐす、伸ばす
硬くなっているということは、筋肉が縮まる方向に力が入っているということです。硬い部位をほぐして伸ばすことで、筋肉の過剰な緊張を和らげる必要があります。
③弱いところを強化する
硬くなっている部分の反対側にある筋肉は、大抵の場合弱くなっています。姿勢を正すには、働くべきところに働いてもらう、ということが重要になります。
それでは上記の3つのポイントを順番に追っていきたいと思います。
1つ目の「普段の姿勢」ですが、骨盤後傾を「クセ」にしてしまう一番の要因は、やはり日頃の座り方にあるのではないでしょうか。
バスや市電の中、運転中、テレビを見ている時、ご飯を食べている時・・・骨盤はニュートラルになっていると自信を持って言えますか?真木は言えません😅
座り姿勢が骨盤後傾を助長するとなると、座っている時間が長いお仕事の方などは特に注意が必要ですね。
「気づいたら直す、こまめに直す」これしか方法はないかと思います。それとも、骨盤の後ろにウニでも置いておきますか・・・骨盤が後ろに倒れたら刺さるように・・・
次に2つ目のポイントである「硬いところをほぐす、伸ばす」に移ります。
骨盤後傾がクセになると、硬くなる筋肉はいくつかありますが、うち1つに腹筋群があります。縮こまった腹筋群を伸ばすには、こちらがおすすめです👇
大切なのは「体をどれだけ起こせるか」ではなく、「腹筋群が伸びているのを感じ取れるか」です。高さにとらわれる必要はありませんので、お腹の伸びを感じ取りながらゆっくりと動いて下さい。
今回はここまでです。骨盤後傾を直す方法は次回も続きます!
文:真木
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