肋骨が広がり過ぎ?

前回のブログでは浅い呼吸を直すためには、肋間筋をほぐして胸郭が十分に広げられることが大切だと書きました。今日は昨日の内容とは少々矛盾するように聞こえるかもしれませんが、肋骨が広がり過ぎているのもダメという話です。

 

 

上の画像を見ると、皆さん共通して下の方の肋骨が浮き出ています。3人とも細身だから肋骨が見えているだけ、というわけではありません。

 

こちらの女性はそれほど細身ではありませんが、同じように肋骨が「飛び出ている」のがわかります。どうしてこうなってしまうのでしょう?

下の方の肋骨が飛び出していることを、リブフレア(Rib flare)と呼びます。リブは肋骨、フレアは広がるという意味です。フレアパンツとかのフレアと同じです。

 

日常的にリブフレア気味の姿勢の方もいらっしゃいますし(骨盤が前傾している方に多い)、普段はそれほどでもないけど運動するとリブフレアが出てしまうという方もいらっしゃいます。もちろんシャキットのお客様の中にもいらっしゃいますので決して他人事ではありません。

 

リブフレアの原因はさまざまあります。原因は1つではなく、複合的な場合も多いと思います。

 

例えば・・・骨格。つまり遺伝的なもの。これはなかなか難しい問題で、先祖代々リブフレアだという場合、修正を試みるべきか否かについては簡単に答えを出せないと思います。なので骨格によるものの場合は除外して、他の原因を探っていきたいと思います。

 

まず考えられるのは「腹筋群の弱さ」です。リブフレアは骨そのものの形が「歪んでいる」わけではありません。胸郭が上方へ傾いているために「下の方の肋骨が広がって見える」状態です。つまりアライメントが崩れている(胸郭があるべき位置にない)ために起きているのです。

 

胸郭が上方へ傾かないようにする役割は腹直筋、腹斜筋、腹横筋といった腹筋群が担っています。

 

普段からリブフレア気味の方はもちろん、運動中にリブフレアが出てしまうという方は、腹筋群が弱い可能性があります。

 

 

リブフレアの2つ目の原因として考えられるのが「筋肉の硬さ」です。上の方に骨盤前傾気味の方はリブフレアを起こしやすいということをチラッと書きました。

 

骨盤前傾の場合、腰椎は反りやすくなります。そういう方は背中の筋肉(腰方形筋、脊柱起立筋、広背筋など)が硬い傾向にあります。背中の筋肉が硬いから腰椎が反って骨盤が前傾するのか、はたまた骨盤が前傾しているから腰椎が反って背中の筋肉が硬くなるのか、それは「卵が先か鶏が先か」くらい答えに窮する問題ですが、いずれにせよ骨盤前傾傾向のある方は、トレーニングの際にはリブフレアには注意が必要であることを意識できれば、トレーニングの効果が俄然変わると思います。

3つ目の原因として「肩の可動域が不十分」ということが考えられます。試しに万歳をしてみて下さい。万歳で手を頭の真上に持っていけない方はもちろん、手は頭の真上まで上がるけれどリブフレアが起きてしまうという方は、肩の可動域が不十分と言えそうです。

 

また無意識の万歳だとリブフレアが起こるけど、意識すればリブフレアを起こさないで万歳ができるという場合には、無意識下では腹筋群を十分に使えていないということも考えられます。そういう方は、トレーニング中も常にリブフレアを起こさないよう意識できれば、それだけで腹筋群の強化になります。

 

普段の生活もそうですが、特にトレーニング中はリブフレアに注意をしていただきたいと思います。と言うのも・・・トレーニング中にリブフレアが出てしまうと効果が落ちてしまいもったいないのです。

 

イラストの赤いニョロっとしたものを見て下さい。左側は「ニョロ」の上の部分が逆U字になっていますが、右側はどちらかというと平らに近くなっています。これは横隔膜が動く幅を表しています。つまり、右のように胸郭があるべき位置にあれば、横隔膜がしっかりと上下できるのに対し、リブフレアが起きている時には横隔膜の上下が小さくなってしまうということなのです。

 

横隔膜は呼吸を司る主たる筋肉です。横隔膜の動きが小さくなれば当然ながら1回の吸気で取り込める酸素の量は少なくなってしまいます。リブフレアには呼吸が浅くなるというデメリットがあるのです。

 

シャキットのレッスン(ワークアウト第1)でリブフレアが起きやすい動きは何かな~と考えた時、パッと思い浮かんだのはイラストの2つです。他にもいろいろとあると思いますが。

 

リブフレアを直す上で一番大切なのは、やはり「意識」だと思います。そもそもリブフレアが起きてしまっているという自覚がなければ直しようもありません。

 

肋骨の下の部分が広がっていないか、胸郭が骨盤の真上にあるか、これを意識するだけでもリブフレアは防げると思います。トレーニングの際にはぜひ胸郭が正しい位置にあるかを考えながら行ってみて下さい。

 

最後に1つエクササイズをご紹介して終わります。動きは下記の動画を真似て下さい。

 

膝を立てて仰向けになります。足は骨盤の幅程度に開いてください。腰と床の間にあまり隙間ができないようにしますが、腰を床に押し付ける必要はありません。手を天井の方へ上げる時に息を吸い、頭上に持っていく時に息を吐きます。手を元の位置に戻す時も同様に、天井へ向ける時に息を吸い、体の横に戻す時に吐き出します。リブフレアを起こすことなく手を頭上まで持っていけるか挑戦してみて下さい😊(リブフレアを意識するあまり、あまり体をこわばらせないよう気を付けて下さいね。)

 

文:真木