ファシア①

「筋膜」という言葉を聞いたことはありますか?筋肉は筋線維(きんせんい)という細~い線維の集まりなのですが、その1つ1つの線維を包み、束となった筋線維を更に包み込む膜です。筋肉の形というのは、部位によってさまざまですが、それは筋膜によって形作られています。筋膜がなければ、筋肉はスライムのようにダラ~っとなってしまのだとか。画像の筋内膜、筋周膜、筋外膜などが「筋膜」に当たります。

 

筋膜をご存知の方でも、「ファシア」は聞いたことがないかもしれません。

 

恥ずかしながら私はつい最近までファシア(fascia)と筋膜の違いをよく分かっていませんでした。筋膜は英語でmyofascia(マイオファシア)なのですが、マイオファシアもファシアも同じようなものなんだろうと思っていたんです。ところが、英語の動画やサイトで得られる「ファシア」の情報と、日本語の動画やサイトにある「筋膜」の情報にどうも違いがあるな~と不思議に思うことがあり、よくよく調べてみると、あることが判明しました!

 

日本ではファシアを「筋膜」と訳してしまっているケースが多いらしいのですが、実はファシアと筋膜は別物であるということが分かりました。ではファシアの正しい日本語訳は何かと言うと・・・なんと現時点では適切な日本語表記が存在しないのだそうです。

 

そんなわけで、日本語の論文等ではそのままファシアもしくは英語表記でfasciaとなっているのようなのですが、それほど学術的でない情報の中では、ファシアと筋膜がごちゃ混ぜになってしまっていることも多いようです。

 

 

なぜこんな混乱が起きてしまっているかと言うと、おそらく、ファシアが認識されるようになってからまだ日が浅い、ということが大きいと思います。

 

私が理学療法の学校に通っていた15年ほど前、授業で「ファシア」なるものを聞いた記憶はありません。私がボーっとしていただけかもしれませんが・・・。でも筋膜を習ったことは覚えています。

 

 

その学校の最終学年の時には、「解剖実習」もあり、本物のご遺体の筋肉や骨、靭帯等をぺろ~んとめくりながら、ひとつひとつ確認するといったような授業もありましたが、その時も「これがファシアか~」と思った記憶はありません。衝撃の強い授業だったので今でも鮮明に覚えてますので、ファシアについては学校では教わらなかったのだと思います。

 

で、ファシアとは一体なんぞや、という話ですが・・・日本整形内科学研究会によると、

  • 当会としての最新の定義は以下になります。
    1. fascia(ファシア)は「線維性の立体網目状組織」であり、以下の3種を含む概念です:
        1. システム(系)『fascia system』
          A fascia、Ligament、tendonを含みます。Ligamentには、筋骨格系における靭帯(Musculoskeletal ligament)と内臓に係る靭帯・間膜(Visceral ligament)を含みます。腱Tendon自体は、柱状の線維構成体ですが、その周りにを包む腱鞘は「A fascia」に含まれます。
        2. マクロ解剖の臓器(構造)『A fascia』:
          「A fascia」には、浅層のファシア(Superficial fascia), 深層のファシア(deep fascia:腱鞘等のファシア[aponeurotic fascia], 筋外膜等のファシア[epimysial fascia]を含む), 内臓のファシア(visceral fascia:漿膜や間膜等のファシア[investing fascia, insertional fascia]), 神経系のファシア(meningeal fascia:硬膜・髄膜等の中枢神経系ファシア[meningeal layers], 末梢神経を構成するファシア[neural sheaths])を含みます。
        3. ミクロ解剖の線維『fibrils』
    2. 国際的には、『fascia system』および『A fascia』は区別して定義されている(詳細は本文参照、Stecco C, Schleip R: 2016;20:139-140
    3. ミクロ解剖の観点の線維性構造は「fascia system」にも含まれるが、構造としての”用語”ではないため、別途「fibrils(線維)」という用語を適応させた。
    4. 上記2の観点において、fasciaを「ネットワーク機能を有する『目視可能な線維構成体』macroscopic anatomical structures forming of fibrils with the function of fascial network system(2019年4月JNOS)」と表現しています(医学用語としての定義)。ここでいうネットワーク機能とは、各組織や器官を繋ぎ・支え、知覚するシステムのことです。Fascia system には、筋膜Myofasciaに加えて腱、靱帯、神経線維を構成する組織、脂肪組織(脂肪体含む)、腹膜・胸膜・心膜・髄膜など内臓を包む膜様構造物など骨格筋と無関係な部位の結合組織を含みます。そして、その線維配列と密度から整理されます。
    5. 上記4をさらに平易に説明するために、「全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の立体網目状組織。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つシステム(2020年3月JNOS)」と表現しています(一般用語としての「ファシア」)。
    6. 筋膜:個々の筋線維、筋肉または筋肉群を包み、互いを分割および連結する線維性組織。筋や関節の動きを滑らかにしつつも、これらを制御して位置を保つ。

 

 

飛ばすことなく全文を読んだ方いらっしゃいますか?こういう文章を読むと、この絵のような気持ちになります・・・

 

なんかよく分かりませんが、筋肉だけじゃなく、体の中のいろ~んなものを包み込む膜らしいです。しかもただ無意味に包み込んでいるわけではなく、それぞれを接続させて、情報伝達までしているんですね。インターネット網みたいな感じ??

 

もちろん昔からファシアは体の中に存在したわけですが、ほんの10年位前までは、見向きもされず、解剖をしてもポイ捨て状態だったらしいです。今でこそ、ファシアに関する研究は進みつつあるようですが、それでも注目を集めるようになってから、たかだか10年そこそこ。ファシアに関しては、まだ分からないことだらけのようです。

 

 

こんな本を見つけました。『ファシア その存在と知られざる役割』

 

なんだか意味深なタイトルですね~。読んでみたい・・・でもこういう本って高いんだよな~と価格を見てみたら・・・5000円・・・😭やっぱり高い😭

 

シャキット文庫に置いてくれませんかね~、山内代表。

 

今日のブログはここまでです。なんの有益な情報もなくてスミマセン😅まずはファシアの存在のお知らせでした(笑)長きに渡り、「これといった意味もなく、使い道もない」と思われていた可哀想なファシア、名前だけでも覚えておいてあげてください😊ファシアについては、また次のブログに書きたいと思います。書くほどの情報を集められたら・・・。

 

文:真木