春腰痛

このところ「腰が痛い」ということでお休みされるお客様が続いています。偶然にしては多いな~と思ったら、「春腰痛」なるものがあるそうです。原因は色々あるようですが、寒暖差によるものが多いのだとか。確かに、ここ数週間、春めいてきたな~と思ったら、一気に冬の寒さが戻ったりと、落ち着かない天気が続いていたように思います。

 

腰痛と言っても、痛みのでる部位や程度はさまざまなので、十把一絡げ(じっぱひとからげ)にすることはできません。

 

今日は「腰痛」と思われがちなのですが、実はある関節が原因となる痛みについて書きたいと思います。

 

 

あまりメジャーな関節ではないのですが、骨盤に仙腸関節(せんちょうかんせつ)と呼ばれるところがあります。仙骨と腸骨をつなげる関節なので、仙腸関節です。

 

関節と言っても肩関節や股関節のように動くわけではありません。仙腸関節の周りは靭帯(じんたい)でがっちりと連結されているので、数ミリしか動かない関節なのです。

 

 

仙腸関節周りが過度に緩んだり、逆に固まったりし、わずかな「ズレ」が生じ、それがいわゆる腰痛として現れることがあります。これを「仙腸関節障害」と呼びます。痛みは仙腸関節周辺はもちろんお尻、鼠径部(そけいぶ)、もも裏や膝下に出ることもあります。

 

上述の通り、仙腸関節は元々わずかにしか動きません。なので、レントゲンやMRIなどの画像診断でも仙腸関節の「ズレ」を見つけることはできず、また、脊柱管狭窄症や腰椎ヘルニアと症状が似ているため、診断は難しいと言います。

 

以前のブログで関節には「スタビリティ関節」と「モビリティ関節」があるということを書きました。スタビリティには安定性という意味があり、スタビリティ関節は固定して体の安定性を高めるという役割があります。反対にモビリティには可動性という意味があり、モビリティ関節を駆使することで、体をより大きく動かすことができます。「関節は動かさないと硬くなるから、すべての関節の可動性を高めるべき」というわけではありません。

 

図にあるように胸椎は動く関節(モビリティ関節)、腰椎は動かない関節(スタビリティ関節)です。体を動かす時に、腰椎が大きく動いて、胸椎があまり動いていないということを繰り返すと、腰椎に過度の負担がかかり、痛みを引き起こす原因となることがあります。「腰椎は意識的に固定させ、胸椎で動く」ということを体に覚えさせる必要があります。

 

シャキットのお客様の大半が、なにかしらのレッスンでプランクをされています。プランクは腰椎を固定させる意識付け、と言う意味ではとても有効だと思います。ただ、プランクでは胸椎も固定されているので、「腰椎を固定させた上で、胸椎を動かす」という意識付けはできません。ですから、もう少し動きを伴うメニューをする時に、プランクの時並みに腰椎を固定させ、その上で上半身を動かす、という練習が大切になります。

 

 

例えば、ワークアウト第1で画像のような動きがありますよね?(第1では手にはクッションを持っていますが)

 

この時に、私がいつも「骨盤の真上に腹巻を乗せて」と言いますよね?「腹巻なんてつけてないよ。腹巻、腹巻うるさいよ。」というお客様の心の声も聞こえそうですが😅、これはプランクと同じ状態を作り、腰椎を固定させたいがために言っています。

 

また、クッションを持った手を上げる時には、「腰を反らさないで」と言いますが、それは腰椎を固定させたまま、胸椎を動かしていただきたい、という意図があります。なかなか、レッスン中は細かく説明ができないので、「いちいちうるさいな~。」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご理解下さい・・・😅

 

これは一例ですが、他にも「腰椎は固定させて、胸椎を動かす」動きは色々とあると思います。是非探してみて下さい😊発見したら、ぜひ教えて下さい😄

 

話が逸れてしまいましたので、仙腸関節に戻します。仙腸関節は当然ながらスタビリティ関節です。ですから、ここは可動性を上げることよりも、安定性を高めることが大切です。最後に、仙腸関節の安定性を高めるための動きを2つご紹介します。仙腸関節に痛みがないという方も、是非試してみてください。

 

 

左膝を抱えて仰向けになります。左の太ももが床に対して垂直になるようにして下さい。その位置から左膝は動かさないようにします。両手で左膝を左胸にくっつけるように引っ張って下さい。足の方は、手の引っ張る力に抵抗して、左膝を伸ばそうとして下さい。5秒ほど止めます。

5秒止め終わったら、力を抜いて、左膝を胸に寄せ、3秒ほど止めて下さい。

 

これを3回ほど行い、右足も同様にやってみて下さい。

2つ目は両膝を90度に曲げて仰向けです。腰が床から浮かないようにします。

 

 

片膝を伸ばしていきます。腰椎が反って、腰が床から離れないよう気を付けながら、伸ばして下さい。膝が伸びきるまで伸ばす必要はありません。腰が反っていくようでしたら、反る手前でやめて下さい。

 

4・5秒かけて伸ばして、4・5秒かけて元の姿勢に戻す、という感じでゆっくり動かします。左右の足を交互に動かして下さい。

 

2つとも地味な動きではありますが、なんせ安定性を高めるための動きですので、「ガチャガチャ」やらないことが大切です😊

 

文:真木

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コメント: 4
  • #1

    ナウシカ要素 (木曜日, 20 5月 2021 13:52)

    夫がまさに仙腸関節痛に悩んでいます。そして春はいつも深く眠れず、睡眠不足なようです。春腰痛なるものがあるのですね。
     整体に行ったところ、仙腸関節の痛いところを守ろうとするあまり、腰の筋肉が凝っていて、それがさらに痛みを引き起こしているらしいです。それらのガチガチにガードしてる筋肉を柔らかくしようとすると、今度はまた仙腸関節が痛くなる、というグルグルを繰り返しています。そんな感じでしたので、いい運動を教えてくださってありがとうございます!夫に伝えようと思います!

     ワーク1のあの動き、わたしはとっても苦手です。なんとかできるようになりましたが、「よーし、骨盤の真上に腹巻固めてよう!」と意識した途端にバランス取れなくなります。
     レッスン中のアドバイスは、それどころじゃないくらい必死なうちは、あまり聞こえていませんが(笑)少しできるようになってくると、「ああ、そういう意味合いの動きだったのか!」と、突然耳に入ってくるようになります。少しずつでも理解が深まると、何も考えてない時よりも筋肉に対して効果的な動きができるようになってきますよね。
     真木さんから見ると、まるで出来ていないと全然聞いてないみたいに見えるかもしれませんが、聞こえているけど出来ないだけなので、これからも懲りずに言い続けてくださいね!

  • #2

    シャキット真木 (木曜日, 20 5月 2021 20:32)

    ご主人、大変ですね(T_T) 是非、2つの動きやってみて下さい。即効性はないかもしれませんが、継続すれば少しずつ仙腸関節が安定することと思います。正しくできているかどうか、ナウシカ要素さんがじっくりと観察してあげて下さい!

    バランスって難しいですよね~。自分が得意な方法でバランスを取っていると、それが本当は使うべきではない筋肉や関節を使っている、ということはけっこう多いと思います。なので、グラついても良いので、使うべき筋肉を使って、その使い方に体を慣らさせていく必要があるかと思います。

    「理解が深まると、何も考えていない時よりも筋肉に対して効果的な動きができる」というのは、本当にその通りだと思います!効かせるべき所を理解し、意識して動いた方が、絶対にその筋肉も頑張ってくれます。

    私自身もまだまだ修行の身ですし、レッスン中にモニョモニョ色々言いますが、大半が自分への戒めです・・・。なので、皆さんの耳には10のうち1つでも入ればありがたいです。これからもモニョモニョ言いますが、聞いて下さい・・・笑


  • #3

    西谷 (木曜日, 20 5月 2021 21:33)

    Tarzanの最新号がモビリティ特集なので思わず買ってしまいました。誌面でモビリティスティックまで登場して驚いたら、エクササイズ用ではなくセンサーで可動域を測定する棒でした。

    第一でクッション持ち上げてバランス崩さないように踏ん張っている時に【恥骨前に出して〜】は難解を極めます。意味ようやくわかりました^_^

    骨盤の前傾と後傾は【ビリージーン】のアレで覚えることにしました。自分的には一番わかりやすいです。神妙な顔してクッション持ち上げながら頭の中では手が股関です( 笑 )

  • #4

    シャキット真木 (木曜日, 20 5月 2021 22:03)

    Tarzanを自腹で買うようになったら、すっかりトレーニング・マニアですね!

    「恥骨を前に出して~」の号令で、ビリージーンが頭に流れるというお客様もいらっしゃいました。西谷さんが真面目な顔しつつ、「頭の中では手が股間」だと思うと、次回から笑っちゃいそうです・・・