人間にとってベストな食事(再掲)

今日は2019年8月25日のブログを書き直し、再掲します。

 

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健康な体づくりには、食事・睡眠・運動の3つが深く関わっており、いずれか1つがないがしろにされても健康は得られない、ということは議論の余地はないと思います。

 

ただし、その3つの要素の「正しいあり方」については、議論が止むことはなく、正解がさっぱり分かりません。例えば、睡眠ひとつとっても、7時間睡眠がベストという主張もあれば、8時間以上必要という人もいたり、はたまた3時間でも大丈夫!という意見もあります。しかも、それぞれが最もらしい根拠を持っているものだから、素人としては何を信じたら良いものか、という気持ちになります。

 

運動に関しても同じかもしれません。山内と真木で言うことが違うもんだから、どちらを信じてよいのかわからない、なんて内心思っているお客様もいらっしゃるかもしれません。真木の方を信じてください(笑)

 

 

食べ物となると、なおのこと複雑です。卵ひとつをとっても、卵はコレステロールが増えるから1日1個まで、卵は1日3個以上食べても大丈夫、卵は完全栄養食、卵は体に悪い、黄身は栄養豊富、黄身は太る、卵は太らないetc・・・

 

結局よく分からないので、食べたい時に食べたい分の卵を食べる、という感じになってしまいます。

 

シャキット文庫にも食べ物に関するものが色々とありますが、そういった本を読んだ時に思い出す動画があります。それが「What is the best diet for humans?人間にとってベストな食事とは何か?」です。

 

イスラエルにあるワイツマン科学研究所のエラン・シーガル教授は「The personalized diet」という本も出されています。まだ日本語には訳されていないようですが、「一人一人に合った食事法」というような意味です。

 

2016年の動画の中で、シーガル教授は「10年前は今より18キロ太っていた。」と言っています。痩せようと決意した教授が最初にしたことが、「人間にとってベストな食事を探す」ということでした。科学者であるシーガル教授は、「主義・主張」ではなく、科学的な答えを求めました。言い換えれば、「食事Aは食事Bより良い」という、確固たるデータに基づく答えです。

 

ベストな食事を探し求める一方で、シーガル教授は別の疑問も抱えていました。それが、「こんなに多くの研究がなされているのに、なぜいまだに人間にとってベストな食事が見つかっていないのか」という疑問です。

 

この疑問に対して、シーガル教授はある1つの仮説を立てました。それが、「何」を食べるかより、「誰」が食べるか、です。

 

 

 

 

Aさんに効果的な食事が、Bさんには全く効果を示さない。それは、食事そのものに原因があるのではなく、AさんとBさんという食べる人の違いに原因がある、そのようにシーガル教授は考えました。

 

言われてみれば、至極当然という感じがしますが、なかなか気づかない視点かもしれません。人間は十人十色、食べ物だけが一律に皆が同じ反応を示す、という方が不自然ですよね。

 

シーガル教授は自らの仮説を検証すべくある実験を行いました。

 

 

 

一般的に言われていることとして、食後の血糖値の上昇は、体重増加を助長する、ということがあります。シーガル教授は血糖値の変化を見るべく、1000人の健康な成人の血糖値を1週間測定しました。

 

通説としては、「糖質が多いものを食べると、血糖値の上昇が大きくなり、脂質が多い物を食べると、血糖値の上昇が小さい。」と言われています。1000人の血糖値を調べた結果、この通説に当てはまる被験者が多かったそうですが、一方でこの傾向性を全く示さない被験者もたくさんいたそうです。例えば、パンを食べた結果、血糖値が急上昇する人もいれば、何の変化も示さない人も大勢いたのです。そして、これは全ての食べ物に言えることで、ある人は通説通りの反応を示し、ある人は全くその反応が出ない、という結果になったのです。「何を食べるかより、誰が食べるが血糖値を左右する」というシーガル教授の仮説を裏付ける発見でした。

 

 

「人間にとってベストな食事」を探し求めたシーガル教授が出した結論は・・・食べ物に対する反応は、個人によって大きく異なる。ベストな食事は、一人一人に合わせたものでなければならない。よって、「人間にとってベストな食事」は存在しない、です。

 

シーガル教授の次の挑戦は、「個人にとってベストな食事」を見つけることです。年齢、身長、体重、活動度、ライフスタイル、食事の頻度、腸内細菌の状況、持病や既往歴などを加味し、研究を続けているそうです。その中でも、腸内細菌に注目しているそうです。

 

ちなみに2020年の7月に、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)分野の事業開発を進めるコアランダム・システム・バイオロジーという日本の会社の科学顧問委員長としてシーガル教授が迎い入れられた、というニュースがありました。シーガル教授の研究が進み、「個人にとってベストな食事」が見つかる日が来たら嬉しいですね😊

 

文:真木

 

⇓シーガル教授の動画です。残念ながら日本語字幕ありませんが、一応、載せておきます。