SMやる方、読んで下さい。

上の画像は、日本人なら誰でも知っているであろうラジオ体操の「ひねりの運動」です。説明には「からだをねじる」と書かれていますが、「どこ」をねじるのが良いと思いますか?

 

 

実家に昔、こんな運動器具がありました。円盤の形をしていて、その上に立って、体をねじるのですが、小学生の頃によく遊んでました。今でも似たような物が販売されているようですが、ラジオ体操の「ひねりの運動」と同様に、「どこ」をねじるのが正解だと思いますか?

 

 

 

 

「腰をひねる、腰からねじる」は日常的に使う言葉ですよね?これは私の持論でしかないのですが、この「腰をひねる」という日本語の罠に引っかかっている方は、結構多いと思っています。

個々人の柔軟性に関係なく、人間の体というのは、「大体この範囲からこの範囲までは動ける」というのが決まっています。少々つまらない話になりますが、膝を曲げることを、膝の屈曲と呼びます。「膝屈曲0°」というのは、要するに「膝を曲げていない状態=膝を完全に伸ばした状態」ということになります。膝周りの筋肉などが硬くなって、膝が完全に伸びない場合は、「膝屈曲0°にはなれない」ということになります。

 

また、どこまで膝を屈曲できるかも、多少の個人差があります。とは言え、膝周りが柔らかい方であっても、膝の屈曲は140°位が最大値です。この値が180°になることはありません。太ももにふくらはぎが当たるので、180°には物理的にならないからです。

 

 

話を「腰をひねる」に戻します。

 

曲げるは「屈曲」、ひねる・ねじるは「回旋」と言います。人間は胴体をどれくらい回旋させることができると思いますか?

 

ネジのように360°グルグルできないのは当然ですが、もう1つネジとの違いがあります。それは部位によって、回旋できる角度が違うということです。

 

胴体にある背骨は上から頸椎(首)、胸椎、腰椎となっています。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに頸椎の回旋は右に60°、左に60°くらいが正常値です。もちろん、60°まで回旋しない方もいらっしゃれば、60°以上ひねられる方もいまが、90°以上回旋できるという方はいらっしゃらないと思います。

 

頸椎の1つ下にある胸椎はどうでしょうか?絵で赤矢印の幅が狭くなっているので、頸椎ほどに回旋しないことは予測できますね。答えは・・・左右それぞれ40°です。

 

では問題の腰椎です。「腰をひねる」の日本語に恥じることのない回旋力を見せつけてほしいところですが・・・な、な、なんと腰椎の回旋はたったの5°程度と言われています。回旋力ほぼなしです😅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして腰椎はそんなにも回旋できないのでしょうか?絵は腰椎を上から見たものです。腰椎が回旋しようとすると・・・星印のところがぶつかるんです!ぶつかるんじゃ仕方がないですよね・・・😭

 

周りについている筋肉が硬いからひねれない、というのであれば、その固まっている筋肉をほぐせばひねれるようになる可能性はありますが、そもそも骨同士がぶつかることが原因であるならば、どれだけひねっても状況は改善しません。

 

ではどうすれば良いのでしょうか?

 

 

答えは簡単です。回旋が得意な胸椎を使えばよいのです。

 

私はゴルフをしないので詳しいことは分かりませんが、ゴルファーの動きを見ても、腰椎(水色)はほぼ回旋しておらず、大きく回旋しているのは胸椎(赤)だということがわかります。ゴルフに限らず、上半身をひねるスポーツでは、胸椎を駆使するのは同じだと思います。

 

 

4月から始まるレッスン「スティック・モビリティ」にたくさんのご予約をいただいています。ありがとうございます!スティック・モビリティを受ける方に是非、頭の片隅に入れておいていただきたいことがあります。もちろん受けられない方も知っておいて損はありません!

 

関節には「スタビリティ関節」と「モビリティ関節」があります。スタビリティは安定、固定という意味があり、体を固定させる関節です。モビリティは動きを意味し、その名の通り、体を動かすための関節です。

 

腰椎は回旋だけではなく、他の動きも苦手な「スタビリティ関節」です。一方の胸椎は、動くことが好きな「モビリティ関節」です。ところが日常生活では、私たちはついつい腰椎を動かし、胸椎を固めるということをしがちです。それが腰痛などの痛みの原因となる場合があります。

 

スティック・モビリティでも、胸椎を使いなれていない方は、ついつい腰椎を使いたくなるかもしれません。でもそれは腰椎にとっては負担でしかありません。「腰椎周りは意識的に固めて、胸椎をできる限り大きく動かす」、この点を意識していただきたいと思います。また、できない動きがあるからといって、「腰椎を使って無理矢理やる!」はしないで下さいね。最初は胸椎を意識できなくても、徐々に感覚がつかめてくると思いますので、焦らないで下さい。

 

ちなみにタイトルに「SM」と書いたのはスティック・モビリティのことです。山内に新しいレッスンの名前を「SMプレイにしよう!絶対いい!お客さんそういうの好きだから!」と提案されたのですが、断りました。

 

文:真木