1日8杯の水

1日コップ何杯くらいの水を飲みますか?「健康のためには1日コップ8杯」なんていう話、聞いたことありますか?以前のブログで「健康のために1日1万歩」の1万という数字にはなんの科学的根拠もないということを書きましたが、この「コップ8杯の水」の根拠はどうなのでしょうか?

 

 

1日コップ8杯の水というのは1921年にエドワード・アドルフ博士が出した論文から導き出されました。博士は自身の汗や尿の量を計り、1日当たり体重の約3%の水が体から排出されるとしました。そして体重の約3%の水というのがコップ8杯分なんだそうです。

 

アドルフ博士は生理学の世界では世界的に名の知れた方だったそうです。とは言え、たった一人の人間の汗と尿の量から導き出された1日8杯という数字が、住んでいる環境も体格も健康状態も違う全人類に本当に当てはまるのでしょうか?

 

 

水分不足、特にそれが慢性的であると、体にはさまざまな悪影響が生じます。転倒や骨折(特に高齢者)、心臓病、肺疾患、腎臓病、腎臓結石、膀胱がん、結腸がん、尿路感染、便秘、ドライアイ、虫歯、免疫機能低下などなど。

 

水が人間にとって必要不可欠であることは、誰でもわかっていますが、結局のところ1日どれくらい飲めば健康を保てるのでしょうか?

 

 

 

ハーバード大学が4万8千人の男性を対象に行った研究では、1日の水分摂取量が240ml増えるごとに、膀胱がんのリスクが7%下がったそうです。また、1日8杯摂取した場合には、膀胱がんのリスクが50%も下がるという結果も出たそうです。こうなってくると、約100年前にアドルフ博士が提唱した「1日8杯」はやはり守った方が良いのでしょうか・・・?

 

38歳から100歳までの8,280人の男性と12,017人の女性を対象とした研究では、1日5杯以上の水を飲む人の心臓病の死亡リスクが、1日2杯以下しか飲まない人の約50%低いという結果が出ました。水分摂取により血液の粘性が下がり、結果として血流が改善し、心臓病のリスクが下がるということのようです。

 

ヨーロッパ保健局や世界保健機構(WHO)が推奨する摂取量は女性が2~2.7リットル(コップ8~11杯)、男性が10~15杯なのですが、これは食事から摂る水分量も含まれているので、純粋に飲み水からと考えると、女性が4~7杯、男性が6~11杯になります。この数字は中程度の気温で、中程度の身体活動の時の値なので、気温が高かったり、活動量が増えれば、その数字も上がります。

 

ということで、「誰もかれもが8杯」というのは違うようですが、水を飲むことが心臓病や膀胱がんを予防できる可能性もあるようなので、お水は適正量をしっかり飲んでおいた方が良いみたいですね。

 

 

ちなみに、皆さんわかってらっしゃると思いますが・・・アルコールは水分補給としてはカウントされませんので、ご注意を~。(アルコールは腎臓の血液循環を上げ、飲んだ量以上に排尿されてしまいます。)

 

文:真木